禍福はあざなえる縄の如し
めっきり寒くなって冬の訪れを感じる時季になった。おまけに今年は浪々の身。よりいっそう寒さも身にしみるというものだ。だが物事は考えようだ。すべて満足のいく今を送っていたとしても、明日のわが身はわからない。北海道では、強烈な竜巻で命を落とした人が何人も出た。まことに気の毒というほかはないのだが、これはわが身に起こった事かもしれないのだ。犠牲となった人たちは、その前日に、まさか自分が死ぬとは思っていなかっただろう。まったく不幸というものは、いつどこに起こるかわからない。人間の安心というものは、常に瞬間の心理状態なのだ。刹那的だけど、それが事実だ。だから、今の逆境をそう悲嘆することもない。禍福はあざなえる縄の如し。