寛容と共生の世紀へ🕊
NHK人間講座 五木寛之 いまを生きるちから 全3枚セットだいぶ前にNHKで放送されたこの番組のテキストを今ももっていて、ぱらぱらと拾い読みしているうちに五木さんのあの語り口をまた聞きたくなった。振り返ってみると、当時の放送のなかで見逃した回もあり、その回の分はテキストで読んで済ましてしまったのだった。五木さんは政治や社会的活動にかかわりなく、あくまで作家として日本や世界の、そこで今を生きる人間の問題などを考察し、五木さんなりの処方箋を提言している。個々の差し迫った問題に即効性はないかもしれないけど、講座で解説されているとおり、五木さんのことばは慈悲や寛容に満ちた励まし、共感と感じられ大いに心潤される。講座の中で、九州南部における念仏禁制と宗教弾圧の歴史を採り上げている回がある。その時代に厚い信仰を命がけで守った「隠れ念仏」の史実が語られ、力なき農民の抵抗手段として「逃散(ちょうさん)」といった集団で村を捨てるような行動も紹介されている。今の世の中で、ニートだとかパラサイト、スネップなどと呼ばれてネガティブな目で見られている人たちも、考えようによっては「隠れ念仏」の現代形態と思えなくもない。非難する側の考えが一義的な(国家主義的なと言ってもよい)価値観のみによっているのなら、それは封建社会では迫害となって表れるはずだからだ。政府は相変わらず高度経済成長モデルの延長線で政策を進めてるようだが、先進国の先にある超先進国としての日本の姿は、はたして政府がいうような経済大国の絶対護持なのだろうか。国民がこぞってそれを求めているのだろうか。このDVDを手にして、久々にあの五木節の語りに浸りながら、そんなことなどもつらつらと考えてしまった。