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車田のつぶやき

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2012.08.17
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ロンドンオリンピックが閉会しました。
試合や競技が日本時間では深夜となるため、生中継の観戦のために夜ふかしをした方も多かったかと思います。私も期間中何日かは、夜中に試合を見ていました。
特に注目していたのが、女子サッカーの決勝トーナメントです。日本の女子サッカーチーム「なでしこジャパン」は、決勝戦では、優位に攻めながらもシュートがなかなか得点に結びつかず、また、アメリカ選手の「ハンド」を審判が見逃すとの不運がありました。惜しくもアメリカに1-2で負け、結果は銀メダルに終わりましたが、2011年に決勝でアメリカを破ったワールドカップ優勝に劣らない、素晴らしい結果です。

2011年のワールドカップ優勝によって、他国から日本チームはより入念に研究され、国内ではオリンピックでの金メダルを期待する見えない圧力もある中、女子サッカー初のオリンピックメダルである銀メダルは賞賛に値します。当然、試合で活躍した選手たちは立派ですが、なでしこのリーダー佐々木監督については、改めて偉大なリーダーだと感銘を受けました。


引き分けを選択した佐々木監督

佐々木監督については、なでしこをワールドカップ優勝に導き、アジア人として初となるFIFA女子世界年間最優秀監督賞を受賞したことからも、監督としての人格、能力、識見の高さは周知のところです。今回改めて佐々木監督のリーダーとしての偉大さに私が感嘆したのは、予選リーグ最終戦での「2位通過」すなわち、リーグ最下位の南アフリカとの最終試合を「引き分け」とすることを選手に指示したことです。

この南アとの試合後のインタビューでの佐々木監督のコメントをご紹介しましょう。

「次の準備も考えて、相手はどこでもいいのですが、ここ(カーディフ)に残ることがベストだと考えました。グラスゴーに行くとなると、ヒースロー空港に戻ったり、8時間くらいかかってしまいますので。
スタートから引き分け狙いというわけではなく、最初は普通にやりなさいということだった。ただ、後半途中での経過のなかで、ドローを狙える展開であればそういうことでいいと伝えました。後半に関しては僕の指示に従って選手はよくやってくれた。」

「(後半12分に川澄を投入したとき)川澄には、向こう(スウェーデン・カナダ戦)が2-1なので引き分けになるかもわからないので、申し訳ないけどカットインの素晴らしいシュートはやめてくれと、言いました。
そして、2-2になった瞬間には全員でポゼッションしてほしいと伝えました。結果的に選手たちには引き分け狙いという辛い指示になってしまいましたが、指示どおりよくやってくれました。」

「(なぜカーディフに残ることがいいのか? 観客にとってみればゴールがなくエンターテイメント性のある試合でなかったことについてはどう思うか?との海外メディアの質問に対して)グラスゴーではなく、ここを選んだのはコンディションを考えてのこと。われわれは五輪の挑戦者であって、それを達成するためには、そういう準備や狙いがあるもの。もちろん、テレビで応援してくれる人や少年少女に対しては申し訳なかったと思います。それは僕自身の責任です。戦略的な指示を出しましたので。」


「引き分け指示」の戦略性

ワールドカップやオリンピックの決勝トーナメントでは、優勝するために途中で負けることが許されません。また、中3日程度といった短期間の間に強い相手と3試合も戦い続けなければなりません。このような状況においては、試合後に次の試合のために移動があるかないかは、選手の体調に影響を及ぼし、次の試合の結果に大きな影響をもたらします。

私は、イタリア在住時代にファンになったセリエAの「ラッツィオ」をはじめとして、好きなチームを応援してのサッカー観戦が好きです。ただ、サッカー自体については、素人です。サッカーを熟知した通産省時代の先輩が、なでしこのワールドカップ優勝の要因を解説する中で、次のことを教えてくれました。

ワールドカップ主催国のドイツは、予選リーグを1位通過した場合、準々決勝に勝てば、直後に移動して準決勝を行うものの、勝てば次は移動せずに、決勝戦を迎えられるよう自国のドイツをうまく配置しました。予選リーグは想定通り1位通過したのですが、準々決勝で日本にまさかの敗戦を喫してしまいました。
この結果、ドイツがたどると想定していた道を代わって日本がたどり、アメリカとの決勝を体調の良い状態で迎えるとの優位を手にしたのです。
この試合まで勝ったことのなかったアメリカに、劇的な澤のゴールで追いついてPK戦を制したのですが、移動せずに良い状態で決勝戦を迎えたことは、見えないながらも勝利の大きな要因だったとのことでした。

ロンドンオリンピックでは、予選リーグを1位通過した場合には、8時間の移動を経て準々決勝を戦い、また同じくらいの時間をかけて移動しての準決勝となっていました。予選リーグ最終戦の「カーディフ」に残って準々決勝を迎えることは、選手の体調にとって極めて重要なことでした。ただ、この重要な結果は、通常は勝つことを目指して行うものである試合、目の前の南ア戦について、「引き分け指示」を選手に出すことによって初めて達成されたものです。指示がなければ、予選敗退が確定していた南アになでしこは大勝していたかもしれません。

「引き分け指示」は、場合によっては、勝つために、または点を取るために試合に臨んでいる選手のモチベーションに悪影響を与えるかもしれません。また、万一移動せずに迎えた準々決勝で敗退した場合には、「勝つことを目指して戦うスポーツ少年・少女に悪影響を与えた」といったメディアの批判にさらされる危険性が十分にありました。
オリンピックで初のメダル、それも金メダルに向けた最終目標のために、佐々木監督自身がインタビューで表現されているように「戦略的に」勝たない決定をし、「引き分け指示」を出しました。


チームとしての理解

モチベーションとの点では、選手はこの「引き分け指示」について100%の納得を示しています。インタビューでの次のコメントからよくわかります。選手との信頼関係、コミュニケーションも完璧な中、この指示がなされていたのです。

「もちろんゴールを決めたかったし、勝ちたかったけど、金メダルは、どんな手も使わないと取れないと思うし、そういうことも必要。すべてはそこなので、選手も納得してっていうことです。やっぱり、コベントリーからカーディフまで移動してきただけですごい疲れたから、(首位通過で)グラスゴーに行くことを考えれば、こういう考えもあると思う。」(丸山選手)
「(2位通過ということを)別にマイナスには考えてないです。(会場を)動かないっていうのはプラスに働くと思います。」(田中選手)
佐々木監督は、批判が出ることを覚悟の上で、結果についての責任を一身に引き受け、金メダルを取るための戦略的な「引き分け指示」を出しました。インタビューで告白されていましたが、監督人生の中で初めての経験だったとのことです。オリンピックという大舞台の中、この「引き分け指示」を出すとの戦略的な決定をしたところに、佐々木監督のリーダーとしての偉大さを改めて感じました。

私は、サッカーファンになって、かれこれ10年以上スタジアムやテレビで観戦をしています。
もし自分を選手になぞらえた場合には、自らはゴールを決めなくても、ゴールを決めるフォワードに最高のパスを繰り出すファンタジスタになりたい、と思い続けています。他のチームの選手では誰も出せないような絶妙のパスを出して、得点をアシストしてチームに勝利をもたらす。フォワードがゴールを決めたら駆け寄ってフォワードを祝福する、そういうファンタジスタにです。

今回、佐々木監督の戦略的な「引き分け指示」を目の当たりにして、リーダーは、佐々木監督のように、リスクと責任を一身に背負っての「戦略的な決定」をしてチームに成功をもたらす者であるべきと、学びました。






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最終更新日  2012.08.20 11:33:58


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