韓国のファニング姉妹!?
ダコタ/Dakota Fanning&
エル・ファニング/Elle Fanningに匹敵。
『アジョシ』のキム・セロンと
実妹のキム・アロン初共演の『バービー』。
インディ系の
イ・サンウ監督が商業作品に挑む。
あらすじ
体と心がすこし不自由な父と
姉スンヨン(キム・セロン)と妹スンジャ(キム・アロン)姉妹は
港町に住んでいる。
妹があこがれてやまないアメリカから
バービー人形のように美しい少女バービー(Cat Tebo)が
この町にやってきた。
それは姉妹の叔父(
イ・チョンヒ/イ・チョニ)が
姉を養子縁組させようと
目論んでいるアメリカ人家庭の父娘だった...。
ある日スンヨンは
男の子たちに追いかけられているバービーを
パチンコで撃退して助ける。
言葉は通じないけれど
少しずつ仲良くなっていくふたり。
英語と韓国語それぞれの言葉で話す時は
一方通行で通じていないこともあるけれど...
子どもたちはコミュニケーション・ギャップを
たやすく乗り越えて意思の疎通をしている。
好き・キライを
相手の顔色におかまいなく表現するバービーやスンジャの率直さも
頑是ない子どもたちの
自由奔放な精神と生活が表れているけれど...
そんな自由を楽しむ子どもたちが知らないこと、
無知な子どもたちを引き裂く悲劇は...
梁石日原作、
阪本順治監督『闇の子供たち』も想起するような行く末が暗示される。
アメリカへの憧憬や幻想
たくさんの養子が送り出される国
障害者の生活
臓器移植...
シリアスな社会問題と
監督の批判精神が作品に見え隠れする。
韓国が舞台だけれど
海辺の町の設定は
どこか東南アジアの国も想起し
どこでも起こり得る
普遍的な問題を孕んでいる。
スンヨンが
障害者の父親のために
辛ラーメンを調理するシーンには胸を衝かれた。
豊かでない暮らしゆえ
袋入り辛ラーメンは一度に一袋まるまる食べるのではなく
節約して半分ずつ調理しているのが見て取れる。
スンヨンのけなげさと
生活の風景が伝わってくる。
スンジャの欲望と
上昇志向に忠実な、妹らしい我儘さが救い。
スンジャが
もしスンヨンのようにひたすら耐え忍ぶ
父思い妹思いの純粋でいい子だったら
もっと同情してしまうから...(;_;)
一方、
最後に事実を知ってしまった残されたスンヨンの心が心配。
子どもの心にどのような傷を与えるか、
『ハウスメイド(イム・サンス版)』のナミを思い出して...。
ユーモアと言うのではなく...
American Dreamのために媚を売るかのようなスンジャの作り笑いvs.
アジアの純真さを欠いたスンジャへのアメリカ(バービー)の反発、
喧嘩路線がおもしろかった。
憧れる側と
憧れを受ける側との
相互の幻想と幻滅
建前と本音が交差しながら
ちいさな淑女たちの女の戦い、対決の様相を呈している感に
圧倒される。
アジアからの欧米への憧れ
(スンジャが夢見るAmrican Dream)と
欧米が抱く、アジアの純真が裏切られる現実
(バービーがスンヨンに見た、アジアらしい素朴さと純情さを裏切る、
スンジャの子どもらしくない、欲望のためには手段を選ばない態度への幻滅等)
大人の女の争いは見ていられないけれど
少女たちの率直な視線は
韓国と米国の関係を軽々と投影し
透視させるようでもあり
そのけんか腰が
爽快なクライマックス感ももたらしていた。
大人が言いたかったことごと、大人がケンカしたいことが代弁されているから?
姉妹もの、
キム・ジウン
『薔花、紅蓮/箪笥』や
プ・ジヨン
『Sisters on the Road』など...
少女もの、姉妹もの、として観るのも興味深いかもしれない。
姉妹の間に
バービーのように美しいだれかが入って来た時
姉妹の関係のバランスが崩れる
その人間関係、力関係の機微も。
キム・セロンが
共演したイ・チョンヒの生まれてくる子のために
おこづかいを貯めてモビールをプレゼントした、
というエピソードがほほえましい。
すてきな共演、撮影現場だったもよう。
養子問題に関連した韓国映画としては...
同じくキム・セロン主演
『冬の小鳥』
ハ・ジョンウ主演
『国家代表』や
ソヨン・キム監督の『木のない山/Treeless Mountain』。
ソ・ジソプ主演ドラマ「ごめん、愛してる」など。
海外養子がテーマの
ジム・ローチ/Jim Loach(ケン・ローチの子息)初監督作品
『Oranges and Sunshine』も。
to be continued...!?
buzz KOREA
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