|
テーマ:韓国!(16997)
カテゴリ:映画
釜山国際映画祭が終わると東京国際映画祭。
コンペティション部門で 韓国映画『未熟な犯罪者/Juvenile Offender(原題は『범죄소년/犯罪少年』)』を。 あらすじ 病気で寝たきりの祖父と二人暮らしのジグ(ソ・ヨンジュ)は保護観察中。 悪友たちと起こした事件で少年院に入ることになった彼の元に 死んだと聞いていた母親(イ・ジョンヒョン)が現れた... ドラマ「階伯(ケベク)」「ファッション王」「千日の約束」などで子役として活躍するソ・ヨンジュは 映画『霜花店』や今年公開の『泥棒たち』にも出演。 今作でも ていねいな演技がすばらしかったです。 特に 祖父を埋葬して帰る時の空虚な心を表現したかのような手の動きなどが印象的。 歩いて帰る時の手の向きが表現する、 心にぽっかり穴が空いてしまったような少年の心境、 この世にはもうだれも自分の家族はいないという孤独感がよく表れていて感心して観ていました。 元祖K-Popアイドルのイ・ジョンヒョンは パク・チャヌク、パク・チャンギョン監督の『波瀾万丈』で 若い母親のようにも見える巫堂(ムーダン)を演じていたのを思い出しますが... 今作ではあぶなっかしすぎる若い母親を好演。 たとえば車庫入れが下手な姿も 不器用に生きる、 まだ稚ない成長しきっていない彼女のキャラクターを端的に映し出していました。 映画の時代背景は 1997年のアジア金融危機/経済危機後の韓国。 タイなどで始まった通貨危機(米機関投資家らが短期的にアジア通貨に投資していた資金を急に引き上げたことにより発生)は アジア各国で連鎖反応を起こし韓国へも。 そしてついに韓国はIMF管理下で経済を立て直す事態に。 その時代 多くの家庭の父親の職は失われ母親の職も失われ 離婚件数も増大したと聞いています。 そんな時代、 離婚したり離別した両親たちと 離れ離れになった子どもたちも少なくなく... 不安定な経済、不安定な社会の空気を映し出し 小さな犯罪を犯してしまう子どもたちを描いています。 国家人権委員会製作の作品。 カン・イグァン監督は2010年にも If You Were Me/もしあなたならシリーズ第5作『視線を越えて』で 北朝鮮の少年を主人公にした短編の監督を担当。 犯罪を犯して 原題の通り犯罪少年というレッテルを貼られることで 社会からも排除され捨てられてしまう少年たちは 親や家族に捨てられることや 幼くして若くしてそんなふうに捨てられた記憶からか またべつの誰かを捨ててしまうことや また新たな離別や排除を連鎖して招くこともあり... 「捨てること」や「捨てられること」、 目を配られない愛情を与えられないことは その少年の家庭内の問題にとどまらず 社会にも循環し染みわたり連鎖を起こす、社会問題としても意識される。 アジア通貨危機が連鎖を起こしていた時のように。 それでも... 社会から見捨てられ見放されたようなふたりは 母親としての役割にも 息子としての役割にもまだぎこちないふたりが 不器用ながらも手探りで歩み寄る姿が清々しかったです。 人間としてそれぞれ気づきを得て成長していきながら 親子関係というあたらしい人間関係をも育む、ふたつの成長過程が ジグと母親ふたりに同時に降りかかり... エンディングでやさしく降り注ぐ陽光が象徴するように 離別や放棄、排除の連鎖を断ち切るささやかな意志がほんわりじんわり温かさを広げるように感じられました。 二度と誰かを捨てたりしない、離れたりしない、放棄しないという意志は まだまだ確かではないようで (母子家庭などへは特に、職業訓練や住宅・生活を援助する社会的サポートが必要と実感) 不安定に、 ゆれ続けているように見えながら... ジグが宣言する小さな決意、連鎖を断つという小さな決意のように 少しずつ強く確実になっていく希望が小さく波打って じんわり温かさを広げていました。 そんな小さな希望の芽が摘まれることのないよう... 映画をきっかけにして 犯罪少年への偏見や先入観が消えたり、 彼らへあたたかい言葉や手を差しのべることができたら、と思います。 『未熟な犯罪者』は東京国際映画祭で 審査員特別賞と主演男優賞を受賞!おめでとうございます(≧∀≦*) ソ・ヨンジュは14歳、最年少受賞者らしいです! 10月29日には 撮影もした少年院で上映会が行われるそう。 少年たちに未来への希望が伝わるとうれしいですね。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 14, 2023 03:55:52 PM
[映画] カテゴリの最新記事
|
|