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テーマ:韓国!(17277)
カテゴリ:映画
ロス・アダム Ross Adam、ロバート・カンナン Robert Cannan監督ドキュメンタリー
『将軍様、あなたのために映画を撮ります The Lovers and the Despot』(2016年) 北朝鮮に拉致された映画監督申相玉と映画俳優崔銀姫の、北からの脱出を再現再構築。 (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 同時期に観た、正攻法で熱い直球ともいえるグスマン監督『チリの闘い』に比べると 演出が少々脂っこく感じられる部分もあるが... シン・サンオク映画のフッテージを鏤め 映画とリアルの間を行き来するような演出は クライマックスでのチェ・ウニの証言とも呼応、共振する。 (チェ・ウニの証言から着想、発想された演出、手法なのかもしれない...) あの国家自体が 演出が十分に施された、延々長回しの(今もフィルムはカタカタと回っているか)一本の映画、 まだ続くロングテイク、大いなる仮構という感慨も残して。 長回しの一本の映画のような鏡の国か不思議の国から チェ・ウニが抜け出そうとする時米国大使館に駆け込もうとする時に なぜか走っても走ってもスローモーションのようだったという証言が突き刺さる。 本当に逃げ出せるのだろうか、(鏡の国の)外に出られるのだろうか、 嘘が虚構が真と現実を侵食し 映画のフレーム(北朝鮮という国家のフレーム)の中から 本当に抜け出せるのだろうか、という不安恐怖焦燥が最高潮に達していたのだろう。 その恐怖感、辛さが伝わってくる一方、 故郷へ帰還するまでの英雄譚として 一種のおとぎ話のような構造を備えたドキュメンタリーとしても観取され得る。 「鏡の国のアリス」のように。 マイケル・ムーア監督の最新ドキュメンタリー映画 『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ Where to Invade Next』が 「オズの魔法使い」の構造を持っていたように。 拉致被害「脱出」(→帰還)劇の側面を持ち ある種の英雄譚のような構造のリアルストーリーゆえ どこか外連味ある演出の余韻を残してしまうのは仕方ないことなのかも... とはいえ イデオロギー対立が芸術や芸術家、個人の自由を阻害し人生も家庭も壊し影を落とす罪深さに あらためて思い至る。 芸術家にとっての真の自由は...と考えた時 一長一短あるそれぞれ不自由さある当時の半島の南北あるいは冷戦下の東西世界は 結局、自身の真の居場所はない、と境界を漂泊する旅人、魂のさすらい人を 増やしただけなのかもしれない。 芸術にさすらう人の孤立と孤独感を深めただけなのかもしれない。 そして独裁者自身も、孤独にさまよっているようにほの見えた映画だった。 質的な相違はあるにせよ、真の自由がないまま孤立し彷徨う魂... (独裁者は血統と志向の狭間、窮屈な帝国で孤独を喞ち 映画監督は脱出後の米国で成功を収めたものの、韓国では北に亡命した人物として冷遇され...) ロングテイクの映画の装置の中の それぞれの孤独感も浮き彫りになる。 テープの音声が繰り返し使われるが...(繰り返しの効果は人により陳腐に感じるかも) もしテープがなかったら一生韓国にも帰れなかったかもしれない... 証拠となるテープがあったからこそ米大使館に駆け込むことが出来た。 モチーフが繰り返され強調されている趣もある一方、 フッテージを用いた再現ドラマ風演出にリアルでシリアスな楔を打っていた。 結果論に過ぎないが 捨てる神あれば拾う神あるかのごとく、 時代の縁と化学反応も印象的。 一時のこととはいえ 『プルガサリ』に携わったのは 日本で下火になっていた怪獣映画のスタッフだったり。 閉じられた帝国内での映画製作のようで 日本映画界等との糸のようなつながりもあらためて... (『プルガサリ Pulgasari 불가사리=不可殺而』を観たのは ブログを始める前だったか...記述が見当たらなかった。 不可殺而の文字列は強く記憶しているものの...) 金正日がチェ・ウニに見せたソ連映画、 グリゴーリ・ナウーモヴィッチ・チュフライ監督の 『女狙撃兵マリュートカ Сорок первый』(1956年)は (国家のために?)冷酷な決断を下す女狙撃兵のプロパガンダ映画だったが... 同監督の『誓いの休暇 Баллада о солдате』(1959年)は プロパガンダ色はなく、国際的にも高い評価を受けたとか。 しかし、チェ・ウニがインタビューで滲ませた通り、 女性に『女狙撃兵マリュートカ』を見せる意図等に思いをめぐらせると 怖い気もした... 一方で、プロパガンダ映画ばかり作っている東側映画界で プロパガンダ映画を超えた作品もあり シン監督自身もその境界を行き来するような映画を作ろうとしていた、 とあらためて刻まれもする。 「百頭山」の映像にアニメも加えたメディアミックス感 ハイブリッドな映像は 申監督が北朝鮮で自由に、自由な手法でも映画や映像を撮っていたことが伺える。 「日韓国交正常化50周年 韓国映画1934-1959 創造と開花」 フィルムセンターの1930年代、1940年代、1950年代韓国映画特集上映 韓国映画の母、妻、娘と思える...チェ・ウニ to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・ 盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 17, 2024 07:32:46 PM
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