韓国のメディアアート展覧会「リズム風景」展へ。
クォン・ヨンジュ、ナム・ファヨン、ヤン・ジョンウク、チョン・ソジョン
梅田哲也、ヨハンナ・ビリング、チョ・ヘジョン&キム・スクヒョン、チョン・ソジョン。
以下、主に韓国の作品の印象を。
まず、チョ・ヘジョン&キム・スクヒョンの
「感情の時代:サービス労働の関係美学」に現れるロールプレイング、
演技・ジャスチャーと現実との乖離から思い出したのは
ジョン・ヨンドゥの「WONDERLAND」(2005年)。
ジョン・ヨンドゥに連なる系譜、と感じた。
最近韓国で「感情労働」と呼ばれるストレスフルな職種、コールセンター職員(感情労働者)のストレスを軽減する
石油会社「GSカルテックス」の取り組みも想起した。
今夏話題になっていたのは
コールセンターの呼び出し音をオペレーターの家族の声にした取り組み。
GS칼텍스의 마음이음 연결음 플레이리스트를 여러분께 소개합니다! で視聴、ダウンロードも出来るが、
例えばタイトルだけでもこんな感じ。
「愛する私たちのママ」
「最高にカッコいいうちのパパ」
「善良で誠実な私たちの娘」
「二人といない大切なボクのカノジョ」
韓国の言葉マーケティングについて以前書いていたが
やはり韓国は言葉がストレートで熱い!
ハートが熱いから...
(日本では家族でこんな風に言わない、言えないから)
韓国らしいアイデアで感情労働者をサポートする取り組みをも
想起させる作品だった。
日本でも今夏(2017年6月1日~7月14日)労働組合「UAゼンセン」が
接客業に就く男女5万878人を対象に調査を実施したが
悪質なクレームを受けストレスを感じた人は89.3%にも上り
精神疾患を発症した人も359人いたそう。
「感情労働」の痛みや苦しみをアートを通して間接的に体感することで
社会へのまなざしやコミットメントも感じさせる作品だった。
また、非正規雇用者など特に若者も多く従事する「感情労働」ゆえ、
延いては若者の厳しい現実や悩みにも思い至る、と考えさせられた。
それはヤン・ジョンウクの「立って働く人たち No.19」にも通底する。
済州島の海女についてはまだ知らないことも多いが...
済州島が備える豊饒なインスピレーションは
イム・フンスン 임흥순 の済州島作品ほど昇華はされていないようにも見えるが
自然と人間の境界を探る試みとして今後への期待も残した
チョン・ソジョンの「宝島」。
同じくチョン・ソジョンの「12の部屋」はシェーンベルク Schonberg のように
調律を、調律師の宇宙を伝える。
色で音や響きを描写しながら。
もう一つイム・フンスン 임흥순を想起させた作品は
クォン・ヨンジュの「経継ぎ(TYING)」。
作家がタイのアートプロジェクトに参加したことがきっかけで生まれた作品。
タイの紡績工場の若い女性労働者を
30年間紡績工場で働いた母の若き日と並置している。
労働環境や産業構造の変化が個人の生活に及ぼす影響は
労働のリズムと共に繰り返し刻まれるのか...という感慨も。
イム・フンスン 임흥순『危路工団 위로공단 Factory Complex』 が
グローバルな「万国の」労働者たちの姿や声をマルチに重ねたスタイルを思い出した。
ナム・ファヨンの「蟻の時間」は
ミシェル・ブラジーの日本初個展『リビングルームII』
(Living Room II by Michel Blazy)で観た
カタツムリの軌跡とは視点や位相が異なる、
より労働のリズムや反復に近いものを感じて興味深かった。アリゆえに。
アーティスト・トークは行かれなかったが...
「日常のリズム」をテーマにしたライブパフォーマンスにより
展覧会が包含する労働や時間のリズム、反復が
浮かび上がった感触も。
to be continued...!?
buzz KOREA
Click...
にほんブログ村 韓国映画
にほんブログ村 映画
にほんブログ村 映画評論・レビュー
にほんブログ村 韓国情報
にほんブログ村 K-POP
にほんブログ村
Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved.
本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は
著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。
無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、
表現や
情報、意見、
解釈、考察
ロジックや
発想(アイデア)・
視点(着眼点)、
写真・画像等も
コピー・利用・流用することは禁止します。
剽窃厳禁。
悪質なキュレーション Curation 型剽窃、
つまみ食い剽窃もお断り。
複製のみならず、
切り刻んで
翻案等も著作権侵害です。