|
テーマ:映画館で観た映画(8570)
カテゴリ:映画(映画館)
木曜日のレイトショーをシネカノン有楽町1丁目で観てきました。シネ・アミューズのときにはチケット完売だったので心配だったのですが、広い劇場に数十人(50,60人?)だけで、ふつうのミニシアター系映画っていう感じでした。映画の内容も、不可もなく、だけどとりたてて感動したりということもないものでした。
ところで、僕はその前日も徹夜、その前にも仕事の関係で睡眠時間が少なく、眠くてたまらなかったのですが、数秒の間の居眠りさえ起こりませんでした。それだけ、緊張感を要求される映画です。ただ、かつての「朝日ジャーナル」「世界」小僧だった僕の場合、むしろ靖国神社の由来自身を知っていたということもあり、どういう人たちがその神社の存在を利用しようとしているかもわかっているので、追認識という面が多かったのですが。 ただ李纓という監督の偉いところは、そういったたたけば出てくる埃(ほこり)を(ほこりが煙幕になったら議論にもなりませんからね)たてずに、刀匠を静かに取材することで、靖国の本質に迫ろうとしたことです。 国家が駆り出して(徴兵して)命を亡くした人たちの魂を、これまた国家(の機関としての靖国)が管理するというのは、靖国神社の存在に賛成する人たちも、反対する人たちにも納得できる事実だと思います。この映画では、現在、あやふやになっているその本質を、もう一度われわれに示してくれたということで、意義深いのであって、だからこそ、一水会の鈴木邦男さんでさえ、「これは「愛日映画」だ!」という書いているのでしょう。 プログラムにソクーロフの声が載っていましたが、僕がこの映画の終りの方を見ていて思い出したのもソクーロフの「太陽 The Sun」でした。ロシア人がヒトラーやレーニンと並んで昭和天皇の姿を静かに描いたのと同じく、李纓もまた、靖国というあやふやな真空の場を静かに描いて見せてくれました。 おまけですが、鑑賞中に会話をはじめた老年のご夫妻や、飽きて携帯電話を開けて光らせるあんちゃんがいたりして、やはり映画としてこの作品を見に来たのとは思えない人たちが数人いましたが、彼らがこれで映画という第七芸術の面白さにめざめてくれればと願います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画(映画館)] カテゴリの最新記事
|
|