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カテゴリ:本
鍵のかかった部屋 ポール・オースターのニューヨーク三部作の第三作です。 「ガラスの街(シティーオブグラス)」「幽霊たち」と続いて、この「鍵のかかった部屋」というわけです。 ですから、他の小説を読んだ後だと既視感が強く、「あれっ、この本読んだことあるぞ」と思うくらいです。僕がそうでした。 いや、ポール・オースターの小説そのものが同じリズム、同じ湿度、香なわけで、この点、たとえば、村上春樹さんなんかもよく似ています。 でも、この小説、読んでいて思ったのはサミュエル・ベケットの「モロイ」なんです。 母親の部屋で寝ているところを気付いたモロイですが、だんだんと自らの意識・存在は消えていき、さらには、モロイの調査に訪れた探偵モランも同様に存在が崩壊していくという小説なのですが、友人ファンショーの妻から、ファンショーの失踪と残った小説・詩の原稿の管理をまかされた主人公が、やがてファンショーの妻と結婚し、ファンショーの伝記を書き始める中で、ファンショーの存在に悩まされ、ついには自分の存在も危機的状況になるというこのポール・オースターの小説とモロイが通底するものがあるように感じられました。 もう少しオースターを始めとしてアメリカ文学を読んでみようかと思う一方、やっぱり、ジョイスやベケットなどの本を、読み返してみたい気分に猛烈になりました。 ガラスの街 幽霊たち お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 29, 2010 09:39:14 PM
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