"a"と"the"
最近、米国のテレビはReality TV一色になっている。日本もそうか…日テレの電波少年なんてその走りだもんね。まぁ、それはいいとして、米国でも素人(もちろん番組放送前に厳選するオーディションは行なっているみたいですが・・・)を番組オーディションに参加させて、視聴者の投票で真のアイドルやコメディアンを見つけるという番組構成の定型ができているようです。(あまりモーニング娘。を知らないけど、これってアサヤンがやったオーディション番組に似ているかも…ユニバーサルな現象なのかもね。)前置きはこの辺までにして、Comedy Centralで、新しいコメディアンを選ぶ番組をやっていたんだけど、そのなかで面白い一幕がありました。英語の冠詞まつわる漫談で、定冠詞の"the"と不定冠詞の "a"を上手く説明しているなぁと…米国でピル(pill)といえば、薬のことをいいます。特に錠剤をピルといいます。でも、避妊薬も錠剤だから、ピルなんですね。漫談の内容は、チョット正確に覚えてないのですが、こんな感じだったと思います。コメディアンが聴衆に、"You know about the pill. Right?.... I am talking about the pill, you know. Not a pill. "The pill!" It is a birthcontrol pill, I am talking about, which protects you from getting pregnat. You know..." 『ピルって言えばさ…知ってるだろ、あれだよあれ。分かるだろ、あれ?ピルだよ。錠剤じゃなくて、避妊薬の方。』って感じだったかな、そんで、聴衆が大笑い。みんな、"the pill"といわれた時点で避妊薬を頭の中に思い浮かべているんだけど、それが避妊薬だって認めるのは一瞬躊躇するんですね。米国ではピル=SEXっていう慣習が定着しているから、ピルは下ネタになるんですね。だから、the pillと言えば避妊薬だけど、もしかして、普通の薬のことかもなぁってチョット戸惑うんです。"the"を使う場合は話者と聞き手の頭の中に特定のイメージがある時だから、このコメディアンはその逆を突いて最初から"the"を使ったんです。"a pill"だったら、そのあとに何の薬かの説明があるはずだから安心して聴いていられるんだけど、"the pill"だったから、『えっ、もしかして、この人は避妊薬のこといってんの?』と、鳩が豆鉄砲を食ったみたいに虚をつかれて、みんなニタニタ笑っちゃったんですね。中学、高校と、英語の授業で定冠詞と不定冠詞について勉強したけど、何一つ腑に落ちる説明がなかった。寧ろ、冠詞って日本人の最も苦手にするところだと思います。でも、この上の漫談は、定冠詞"the"について上手く説明していると思い、『お~、なるほど』と妙に納得しました。日本語にも定冠詞じゃないけど、助詞の『が』と『は』で頭の中にイメージがあるかないかを区別しているんですね。例えば、白い未確認物体をさして、『これはチーズです。』といえば、白い物体のイメージは対象者の頭に無かったわけで、石鹸かな、それとも消しゴムかもしれないなって思っているんですね。一方、墓石が立ち並ぶお墓にいって、『これが坂本竜馬のお墓です。』と言えば、わざわざ墓地に行くわけだから墓石のイメージはすでにあるわけです。いっぱいある墓石の一つを指しながら、助詞『が』を使って坂本竜馬の墓と特定するんですね。(間違っていたら教えてください。)長い小噺になりました…チャンチャン。