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カテゴリ:水のメモ
昔、私の直属の部下に非常にいい男がおりまして
情に厚いし、仕事もよくできる、上に信頼され、下に慕われる
それでハンサムなんですが、その彼が30の後半になっても結婚できない。

その理由を彼に聞いてみたら、苦笑いしながらこう言うんです。
「女性とおつき合いするし、結婚もしていいと思っている。子供もかわいい。」
「でも、ケンカして別れを繰り返して、この年齢まで来てしまった。」

それで、一番の理由を「自分は大人げない人間だから」と言うわけです。

それを聞いて私はピンときたんです。

彼は大人げないどころか、むしろ思慮深いし大人そのものなんです。
だけれども、怒りかたというか叱りかたに問題がある。

どういうことかというと、彼は筋が通った人間で非常に理性的です。
だから、職場で見ていても、彼は滅多なことでは怒らない。
彼が、ここは怒るべき、いざ、という時は、そりゃあ相手に相当な非がある時なんです。

そういうとき、彼が言っていることはまさに正論です。
ちょっと感心してしまうぐらい、核心を突いた見事な正論で相手に意見する。


実はこれがいけないんですね。


あまりに正論過ぎて、しかも頭がいいものだから、相手を完全に追いつめてしまう。

いくら非があるといっても、相手は人間なのだから
反省を通り過ぎて反感ばかりが残ってしまう。

盗人に一分の理という言葉があります
よく彼の話を聞いていると、きちんと相手に理を付ける工夫もしているのです。
ですが、彼の叱りかたがあまりに筋論でまっとうなものだから
相手は自分に理をつけてもらったことすら気付かない。

そのぐらい、彼が叱るときの言葉というのはつけ入る隙がないんですね。
おそらく、おつき合いしてきた女性にも同じことをやってしまっていたのでしょう。

彼には2つアドバイスをしました。

「叱る言葉は短くすること。遠回しに言うこと。」

遠回しに言われると、気付かない人間というのはいますが
彼ぐらいのレベルになれば、相手に応じた言い回しができるでしょう。

私の言葉を受け入れてくれたのか、彼はとても柔らかい言い方をするようになりました。
多分、はた目には怒ること自体が無くなったように見えたでしょう。
君子は豹変するとはこういうことかと感心するぐらい、見事な変わり様でしたね。

それから、40を過ぎてからですが、すばらしい女性と結婚しました。
奥方の機嫌取りやら、子供の進路やらで頭が痛いとこぼしていましたが
そんな愚痴が幸せそうで、微笑ましく思ったものです。


こういう、ちょっと常人離れした頭脳の持ち主は、生きる工夫が必要です。

普通の人と同じように、カチンときて、怒ってしまったのではいけない。
本人は指でパチンとはじいた程度のつもりでも、実際にはピストルでドン!と撃ってしまう。

大人げないのではなく、頭が良すぎるのだということを、ある意味謙虚に受け止めなければいけない。


そして、そういうことを助言するのは、私たち老人の役割です。
若者を正しく導くという、天からの役割を果たさなかった老人になってはいけません。


  榊原 定征 (東レ代表取締役社長・管理職セミナーより)





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最終更新日  2020/05/24 01:38:37 AM
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