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カテゴリ:水のメモ
●病原体の設定があまりに陳腐で無知


この期待の病原体・・・作中の文言によると「寄生虫」・・・らしい?が

感染者の雛見沢症候群は、感染者は発症すると凶暴になるが、すぐに喉をかきむしって死んでしまう。

さらに潜伏期間が長く、しかも極度の精神状況にならないと発症しない。

おおよそ生物兵器としては、まったく使えない病原体が、なぜ核の代用とまで期待されたのやら・・・

ちなみに作中では「国の運命さえ変えかねない」とまで持ち上げられる。


この病原体がある意味で「ひぐらし」の主役なのだが、なんとも安い主役だ。



安いのは、作中の人々の病原体への期待だけではない。

その設定もチープというか、ずさんというか・・・


●猛烈な感染力を持つ透明な寄生虫


この病原体「基本は空気感染で、経皮的にも感染する(作中)」という設定らしい。


現時点、地球上には存在しないほど感染力が強い。

正常な皮膚組織をすり抜けて体内に入る?という感染力は猛烈だ。

もっとも運動力のあるレプトスピラのような寄生虫なら話は別だ。

だが、空気感染するなら、気流に乗れるのだから、サイズは少なくとも細菌以下だ。

レプトやトキソプラズマなど脳内感染する寄生虫は空気感染できるほど小さくはない。

(ウイルスは基本的に運動性がない。だからインフルエンザウイルスは咳を出させて外に出る)

つまり、作者が示しているのはウイルスでも寄生虫でもありえない。


それをフィクションだからアリとするか否か・・・?

「ひぐらし」は不条理小説ではなく「謎解き」で味わうゲームだ。

謎解きをする大前提として、一定の常識を踏まえるという約束・ルールがある以上

病原体の設定ミスはナシにしてもらわないといけない。




●なぜか発見不能の病原体


この病原体、作中ではどうしても発見できなかったという。

宿主の死後、数時間で溶解するから見つからないのだという。


実際は寄生虫が溶解したとて、解けた虫体タンパクが残るので分かる。

「溶解後はごく普通の成分となってしまう(作中)」

って何て非科学的なことを!?と思った。

血液や髄液に含まれるタンパクは、アルブミンなどごく限定されている。

だいたい、異タンパクだから脳炎やリンパ節の変化が起きるのだ。

ごく普通の成分って何ですか?

しかも、リンパ節の異常で喉をかきむしったというのに、「ひぐらし」中の警察(鑑識)は「死因は不明」という。

薬物やウイルスが検出されないというのはまだアリにしても、これはない。

創傷部位のリンパ節の異常を検死官が見落とすとは、医師もずいぶん無能な職業と思われたものだ

それぐらい解剖においてリンパ節の検分というのは基本中の基本なのだ。

ちなみに、リンパ節は生きてる時にだけ変化するので、死後、正常に戻ったりはしない。

腫れたり出血したら、死んでもそのままだ。
この一貫性のなさは、フィクション性の産物というより

科学的無知とご都合主義の産物といった方がいいだろう。

正直、このあたりの設定の無理さに少し腹たしくもある。


「それとも宇宙から来た未知の病原体と言いたいのかな?」

そう考えて自分で嗤った。

さすがにそこまでは考えていないらしいことは、ひぐらし文中の(あくまで新種の)寄生虫というこだわりに見える。


ご都合主義を薄々自覚しているのか、作中このあたりの詳細には触れそうで決して触れない。

まだ最近のゾンビ映画に多い「人間をゾンビ化させるウイルス」の方が、ウイルスとして一貫している分、理解できるというものだ。

そういえば、ひぐらしの病原体は、名作ホラー「28日後・・・」「28週後・・・」のヒト凶暴化ウイルスに設定が少し似ている。

まぁ、28日後のウイルスは、ウイルスとして無理がない設定で、ひぐらしと比べるべくもないほどのリアリティの差があるが・・・



●女王感染者が巻き起こす矛盾


ひぐらしの病原体に設定された女王感染者という設定も、病原体やフェロモンの知識がある人には失笑ものではある。

だが、女王感染者の問題は設定が陳腐なことではない。

その設定によって、ツッコミどころ満載の矛盾が生まれ

その矛盾(バグ)が謎解きをできなくするという致命的欠陥が発生することにある。


作品の舞台である雛見沢の村人は全員この病原菌に感染しているキャリアーだ。

その発症は、近くに女王感染者がいる間だけ・・・つまり雛見沢にいるときだけ抑えられる。

だが、いくら村外に出たがらないといっても、外出したり、旅行もしている。

逆に人の出入りが少ないとはいえ、外からまったく人が入らないということもない。(たとえば警察とか観光者とか)

大戦中には従軍もしたわけで、軍隊という濃密な空間で「空気感染で経皮的にも感染する」強力な感染力を持つ病原菌の流行・・・アウトブレイクが起こらないわけがない。

さらに、強烈な感染力を持つ病原菌を持った人間が、またあちこちに移動したら・・・今度は爆発的流行(パンデミック)だ。

戦時中に満州で見つかるずっと前に、日本中で感染が起こっているはずだ。


だが、、、なぜそういったアウトブレイク、パンデミックが起こらなかったかは全くスルー

(このあたり、まったく説明がないので、作者はどうも考えてなかったらしい


「女王感染者」というSFで、病原体の矛盾をかわそうとした意図はよく分かるが、結果的にもっと大きな矛盾が出てきてしまって、それが感染症や病原微生物になまじ知識がある人を混乱させてしまっている。


そもそも、爆発的流行が起こりやすい病原体=良い生物兵器なのに。

つくづく片手落ちな、陳腐な病原体だ。


作者が異次元の感染力に設定しておきながら、その設定を使いこなせていないのは

毎日のように雛見沢を訪れている大石クラウド刑事が
なぜか感染せず、田舎で隠居生活を送っている!?

(その他にも赤坂刑事とか雛見沢観光に訪れた人々とか・・・)

などのように、設定を貫けない、使いこなせていない事実に如実に現れている。



こういうのを、物書きの業界では「構成力がない」という。



●自殺したがるヘンな病原体


さらに、発症者が死ぬほど喉をかきむしるのは喉のリンパ節に異常なかゆみを訴えるからだという。

が、リンパ節は体中にあり、頭首だけに限っても特定の喉のリンパ節(咽頭リンパ節かその中の気管リンパ節?)だけがかゆくなるというのはまずない。

たとえば、耳下とか顎下のリンパ節とか、接続近接している他のリンパ節もかゆくなるはずだ・・・


作中、これをエクソダス(寄生虫が体外に出ること)と説明しているが

空気から経皮感染できるほど感染力が強い病原体は、わざわざ宿主に掻き出してもらわない。

セキやくしゃみで十分だ。


それにこの病原体は、宿主の死後、融解・・・死んでしてしまう。

じゃあ、なんで宿主に喉をひっかかせて、わざわざ病原体自ら死んでしまうのか?

それはエクソダスじゃなくて自殺だ。


ここらへんの根本的矛盾はひぐらし愛好家のために突っ込まない方がいいのだろうか?

どうも、作者はトキソプラズマやギニア虫の特徴を持った寄生虫を設定しているみたいだが、サイズや特性の件がなおざりだ。

ウイルスと寄生虫は地球と石ころぐらい大きさが違う。


●SFですらないモノを前提に話をされても・・・


要するに、作中の寄生虫というのは、それそのものが架空のモンスターのようにファンタジックな存在だ。

もはやSFの域すら超えている。

平べったく言えば、無理がありすぎる。

たぶんWikiなどで多少寄生虫の知識をかじったはいいが、基本的な知識を持たないので、こういう設定ミスをしてしまったのだろう。

これでリアリティを感じて欲しいと思われても、謎解きをしてくれと言われても

無理な病原体ですねぇ・・・としか言いようがない。



「正解率1%」を豪語する「ひぐらし」を難解と評する人もいる。

だが、謎が難解すぎて解けないのと、無理がありすぎてワケが分からないのは全く違う。



ひぐらしのなく頃に
ひぐらしの鳴く頃に






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最終更新日  2009/05/02 12:26:42 PM
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