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2014.10.31
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カテゴリ:極真空手
 10月22日(水)~29日(水) カナダへの遠征であった。

 今回はユーゴ=ペレス先生の招待で、大会とセミナーである。
 22日(水)の16:00に成田を出発。10時間以上乗っていたが、時差の関係で10:45に
カルガリーに到着。ここで乗り換えて、12:10にカルガリーを出発して、18:18にモントリ
オールに到着。日本を16:00に出発して18:18に着いた事になるが、これが時差である。今回
は、この時差が少なからずやっかいであった。


 23日と24日はユーゴ先生の道場で稽古。到着して翌日に、ユーゴ先生から大会の演武を頼まれる。
予想はしていたが、一気に緊張感に包まれた。と言うのも、今回の大会は、32道場から250名近く
の選手が参加するとの事。それも、極真の知っている限りの各派閥やグループからの参加である。
 選手はもとより審判もそうである。今の日本ではおよそ考えられない事である。これは、ユーゴ=ペレス
先生の極真空手に対する熱い思いが、各派閥やグループの人達を動かしたのである。その大会での演武で
ある。しかも、海外では初めてである。


 当日、大会会場に入ってみると、正面に私の写真のタペストリーが飾ってある。瞬間、しびれる様な
緊張感が体を貫いた。正面席に座ると、多くの視線が私と私の後ろのタペストリーを交互に見ているのが
分かった。いろんな思いが脳裡をよぎった。
 まずは、こういう場を設けてくれたユーゴ=ペレス先生に恥をかかせてはならないという事。同時に、
大山総裁の弟子として、師の顔に泥を塗ってはならない。日本にいる多くの弟子達の為にも・・・等々
考えていると、私の目の前に、次から次へと他派閥の極真の関係者が握手を求めてやってくる。師範や
先生達である。その目は、好奇心に満ちたもの、友好的なもの、私の力量を計ろうとしているもの、
実に様々な目を見る事が出来た。
 私はこの時、もちろん緊張したが、彼等一人一人と握手しながら、コツコツと稽古してきて本当に
良かったと思った。緊張感はあったが、恐れは無かった。空手は、日常の生活の中から生まれる。私と
同じ様な日常を送っている人間が、この会場の中に何人位いるのだろうかと思った時に、会場全体を実に
冷静に見渡す事が出来た。

 大会は、午前が型。午後が組手である。午前の型の後に、私の演武が組み込まれていた。この時間が、
一番人がいるとの事であった。橘を前にして、型のチェックをする。緊張感から、何度もトイレに行って
くる。しかし、心の芯の部分は、コツコツと稽古を積み重ねてきて良かった、という絶対的なものが、
しっかりと根を張っているのを感じた。上手くしようと思ってはいけない。いい所を見せようとしてもい
けない。流した汗は決して自分を裏切らない。これを信じて、今まで培ってきたものを全て出すだけだ。
恥から逃げないで、恥に向かっていけば良い。そして、肚に力を入れる。丹田に力を入れる事を忘れない
こと。
 そして、会場へ入り、自分のタペストリーの前に立って、無事に、なんとか型と試し割りを行った。
型が終わった時に、大きな拍手に包まれ、それがなかなか鳴り止まなかったので、良かったのであろうと
感じる事が出来た。試し割りは、外人達が持ち手をつとめてくれた。おまけに即興で、約束組手も出来た。


 翌日はセミナーである。午前と午後と2回に分かれていた。午前は少年部と色帯が中心であると聞いて
いたが、黒帯も結構参加していた。他派閥が多い。正座、黙想を終え、皆と向かい合う。ここでも、色んな
目があった。昨日の私の演武を見た人達の目は、明らかに畏敬と尊敬、そして好奇の目であった。殆どが
昨日私と会っているが、初めて私を見る人間も何人かいた。そういう人達は、目を見ればすぐ分かった。

 準備運動を終えた時点で、私と皆との気持が通じ合っていくのを感じた。基本稽古が終わる頃は、少し
でも多くの事を学びたいという、気持が伝わってきた。色帯と少年部を中心に、手刀回し受けを分解して
指導してやった。気が付いたら、あっと言う間に時間になってしまった。終わった時の皆の顔は、実に
いい顔をしていた。午前のセミナーは手応えを感じて終わる事が出来た。

 午後は、殆どが黒帯である。それも、他派閥が実に多くいた。そして、何人かの他流派もいた。これも、
日本では考えられない事であった。午前と同じく、昨日の私を見ている人達は、学ぼうという目をして
いるからすぐに分かった。初めての人達は、私の力量を見てみたいという目をしているから、これもすぐ
に分かった。今度は黒帯が相手である。午前中参加した黒帯も、殆どいた。

 準備運動、正座の仕方、基本稽古の合い間に息吹、のがれの呼吸、基本稽古の最後に円形逆突き。円形
逆突きの前に、五感の説明をする。五感とは、見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触るの五つである。稽古では、
このうちの見る・聞く・触るの3つを中心に鍛える。しかし、体を鍛え、良いものを体に入れようと思え
ば、自然に嗅覚も味覚も鍛えられると思っている。円形逆突きは、この五感のうちの3つを鍛える。見る・
聞く・触るである。そしてもう一つ、六感を鍛える事にある。

 六感とは、想像力である。円形逆突きは、背後の敵を仮想して行う。振り向き様に受けて、逆突きを
行う。振り向き様である。振り向いてからでは遅い。振り向き様とは、振り向きながらと思えば良い。この
時に、背中の感を鍛える、即ち超瞬間的な想像力である。背中の感、背後に対する感である。これを
しっかりと認識して型へ入っていく。型も全て、振り向き様に受けて、振り向き様に攻撃するのである。
円形逆突きは、型へ入る前に行う稽古なのである。これらを、通訳を通じて説明する。そして、型稽古に
入る。太極から平安、安三、撃砕大・小、最破、突きの型。全て私が一回見本を見せてから、全員で行った。
各派閥から来ているので、ばらばらなのかと思ったら、思った程ではなかった。

 時間が迫ってきたので終わりかと思ったら、ユーゴ先生が、皆の希望で征遠戦と五十四歩をやってほしい
と言ってきた。断る事は出来ない。試されているのではない。皆の目を見れば分かる。皆、学ぼうとして
いるのである。最初に征遠戦。全力で行った。そして、五十四歩。終わったら、昨日に負けない位の拍手
に包まれた。純粋な拍手の音に聞こえた。こうして、無事に大会とセミナーは終わる事が出来た。

 セミナーの中で私が、極真会館はいくつかの派閥やグループに分かれてしまったが、極真精神は一つで
あると言った時に、全員から大きな拍手が沸き起こった事が、今でも忘れられない。そして、ユーゴ=
ペレス先生の極真空手に対する、本当に強くて熱い思いが、今回の大会とセミナーに繋がったのだと思った。
そして、この大会は将来、もっと大きくなると確信した。ユーゴ先生は選手時代、猛牛と言われた程の
ファイターであった。現役時代は、全てが優勝か3位以内である。現在32才。今も、バリバリの強さを
持っている。特に、下段の蹴りの速さはずば抜けている。こういう強くて速い蹴りを見たのは、本当に
久し振りであった。





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最終更新日  2014.10.31 13:08:33



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