22 グリコアーモンド
クルーズ船の廊下を裕子は歩いていた。階段の途中で同じ階の夫婦と出会う。妻は上海のデパートで共に過ごしていた仲間。喜んで一緒に歩くことにした。 彼女の話で今日のレストランではインド料理の有名シェフがインドカレーを作っているという。レストランに入り裕子は夫婦と同じテーブルに座った。食べるの大好きな裕子はもうワクワクしていた。頼んですぐにインドカレーが3人のテーブルにやって来た。「いい香りですね!」 妻も大きくうなづく。ナンも来た。ドキドキしながら口にする裕子。 「美味しい〜」 喜んでパクパク食べる。ナンも食べながら「ナンもカレーと合いますね!」 妻を見ると困ったような顔をしている。夫は食べているが首をかしげている。キョトンとし頼んで裕子。「カレー苦手ですか?」「いいえ〜ただこの人(夫を見ながら)大好きなんですけど」 「だったら」 口元を隠して、「好きなのはグリコアーモンド。アレ甘いでしょ。これとは違うそうですよ」 クツクツ笑う裕子。他のテーブルを見ながら、「グリコアーモンドはないようですけど、ナンの代わりにごはんはもらえるかも!」 聞いた妻は立ち上がってスタッフに近づく。夫は裕子に感謝していた。 その時近づいて来る聡美。。「裕子さん、こちらにいらしたのね」「あら、聡美さん。おいしいから、私もごはんいただこうかしらと思って」 ごはんを持って戻ってきた妻に挨拶しながら聡美は「私はナンしか食べなかったわ」 夫の前にだけご飯を置いた妻も「私もごはんは食べません!」「えーっ」 と叫ぶ裕子。怪訝な顔になる。聡美と妻は二人でニヤッと笑って「忘れちゃったの?」「何だっけ?」「ナイショ」「意地悪ね」 聡美と妻は声を合わせて「今日はこれからプールよ!」「あ〜。そうだった!?」 立ち上がる裕子。