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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。
既報の通りに…と書き出しますが、新たな禁止薬物陽性馬発生という事態を受け、今シーズンの岩手競馬は12月30日から1月7日までの開催を取止める事になりました。 桐花賞、金杯、トウケイニセイ記念とレギュラーシーズンラストを盛り上げ、飾るレースが続くのを目前にしてのこの状況には忸怩たる思いがあります。 ★暖冬のおかげでこの時期でも比較的馬場状態が良く、“この感じでシーズンが終わってくれれば良いね”と皆が願っていた 今回の状況を受けての自分の意見は私のフェイスブックに書いたりしましたが、9月にこの楽天ブログで触れた時からすると状況が大きく変わっています。明らかに何者かの故意による「犯罪」である、という点が明確になり、それは発表された岩手競馬管理者である達増知事のコメントでも指摘される事になりました。 これは事態解決の方向性を決めただけでなく、解決のためのハードルが高くなった事にもなりますよね。 管理者が自ら「犯人がいる」と示した以上、その「犯人」を明らかにしない限りこの先の開催はできないという事になるからです。 先日の記者会見時の質疑応答の中では、もし3月の特別開催ができなくとも今年度の黒字は維持できるとの競馬組合側からの答弁があったそうですが、特別開催ができないような状況であれば4月からの来季開幕も可能とは思えません。 残された時間は非常に短く、そして超えるべきハードルは高い。果たして解決できるかどうか。普段こういう事には楽観的だと思う自分ですが、これに関してはもうなんとも言えません。 さて、突然今シーズンが終了してしまった岩手競馬なのですが、現場の関係者は案外冷静なのにはちょっとだけホッとしました。 年末年始の書き入れ時を失った経済的損害が大きいのは確かとはいえ、いずれにせよあと10日ほどで冬季休催に入る予定だったのですから、その辺に関しては“休みに入るのが少し早くなったと思うしかないね”という受け取り方が多い感じです。 それよりは3月の特別開催あるいは来季の開催が予定通りスタートできるかどうか?がはっきりしてほしいという声の方がずっと多い。 3月の開催のためには少なくとも2月半ば頃までには馬が集まるメドが立っていないといけない。そんなに先の話じゃないんですよね。でも今のままではとても集まらない。話が戻る感じですが、それまでに、なるべく早く解決していないと、そのメドが立たない。今となってはそちらの方への心配が強いようです。 まあつまり、すべては「事件の解決」如何に行きつくという事ですね。 という事でこれはループするので話を変えましょう。 「幻」になってしまった桐花賞。自分の聞いた範囲ではフルゲートから1頭欠けて11頭立てのレースになるんじゃないかと想定していましたが、その中でも“二強”の戦いに注目が集まっていたであろう・・・は皆さんもそうだったのではないでしょうか。 エンパイアペガサス対チャイヤプーン。自分もどちらに◎をつけようか?そして〇をつけざるを得なかった方をどういう風にフォローするか?を考えるのがうれしい悩みでした。 エンパイアペガサスは本来なら27日の朝に桐花賞に向けた本追い切りを行う予定でした。同馬を管理する佐藤祐司調教師にお話を伺いました。 「今シーズンのエンパイアペガサスはこれまでにないくらい順調に調整できて、状態も良い状態をずっと保っていたんです。水沢の2000mという条件にも不安はなかったですから、どんなレースをしてくれるか楽しみにしていました。桐花賞の後は来季も岩手で走る、遠征するにしても岩手からという前提で考えていましたが、この状況になると、移籍して他にチャンスを求めることになると思います(佐藤祐司調教師)」 生産者サイドにはエンパイアペガサスはをエンパイアメーカーの後継種牡馬にという願いがあり、そのためにはもう少し中長距離の“勲章”が欲しいのだそうです。岩手でみちのく大賞典や桐花賞を勝ちまくった、中距離の王者だったという勲章がつけば良かったのですがそれがかなわない以上どこか他所で…という事ですね。 可能性としてはこれまでの同馬の通りに南関東へというのが一番高いのでしょうが、現状岩手からの移籍馬に制約がかけられるようですし、そもそも全国的に馬房不足でなかなか簡単に移籍ともいかないようで、実際移籍する事になるかどうか、その場合いつになるかは未定ではあるそうです。 エンパイアペガサスの最大のライバルとみなされていたチャイヤプーンはどうでしょうか。千葉幸喜調教師にもお話を伺いました。 「楽しみにしていましたよ。ダービーグランプリのレース内容が成長を感じさせるものでしたから、今のチャイヤプーンで、エンパイアペガサスという南関東の古馬重賞を勝っている馬とどれくらいやれるか?を見たかったですね。この後は天工トレセンに行って一層のパワーアップを図ります。今年中には出発します(千葉幸喜調教師)」 確かにその、ダービーグランプリのチャイヤプーンの走りは、素晴らしく良かった。特に直線の瞬発力はこれまでの彼から感じたことがないようなものでしたからね。 トレセンに出た後のチャイヤプーンがどうするかは未定との事で、もしかしたらまた移籍して力をつけるのかもしれません。 「平成最後の桐花賞」になるはずだったレースは「幻の」という枕詞がついて回る事になってしまいました。エンパイアペガサス対チャイヤプーンの戦いもまた幻になったのですが、しかし両馬がこれからどこかで激突する戦いまでもが幻になったわけではないでしょう。いつかまたこの両馬の、両雄の戦いを、岩手で見ることができる日を、楽しみに待ちたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年12月28日 09時07分17秒
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