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2020年04月02日
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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 引き続き無観客競馬開催中。JRAは折しも今日、4月19日までの向こう3週間の無観客競馬実施を発表しました。
 これまでは1週毎の発表でしたが今回は一気に3週間。地方競馬の方では川崎競馬が4月17日までの無観客開催を既に発表していますので、“フロントライン”は4月19日の線である意味揃った形になっています。
 次の焦点は5月3日の天皇賞(春)。ただ、GW中に行われる予定だった各地のイベントが次々と中止になっていたりする現状ではGW中の“有観客競馬”再開はかなり難しいでしょう。そしてその次の“防衛線”はダービーと言われていますが、果たして・・・。


 そんな競馬界ですが、今の状況下では無観客でも開催できているだけ恵まれているというべきです。そして、しばしばニュースで触れられるように、無観客開催でも好調な売上を保っている。今日行われた船橋・マリーンカップなども約6億5千万円、過去最高額を1億円以上上回るレコード。「競馬は好調」という報道が流れるたび「無観客開催でも意外に大丈夫なのでは」という空気が生まれてきているようにも感じられるようになってきました。

 本当にそうなのか?はこの先まだまだ不透明な部分があると思いますが、景気がどの様に影響してくるのか?とかは簡単に論じることができないし自分の手に負える範囲でもありません。
 今回のこのブログでは無観客競馬の影響を大きく受けている分野のお話をしてみたいと思います。
 競馬専門紙。予想紙とも言いますよね。競馬新聞と言ったほうがより馴染み深いでしょうか。
 無観客開催が行われていることで競馬場や場外発売所等での現金での馬券購入ができなくなっており、インターネットでのみ購入できるのは皆さん既にご存知の通り。
 その影響を非常に大きく受けているのが競馬専門紙です。もちろん、馬券を購入するのが主にネットであっても専門紙を買っているよ、という方はおられるでしょうが、専門紙の主要な顧客はやはり競馬場に来場するお客様。それが閉ざされているのですから、専門紙を発行している会社は日一日と追い込まれているといって過言ではない状況です。

 つい先日も、佐賀競馬の予想紙を発行している『通信社』『競馬日本一』が揃って4月からの休刊を発表しました。その後事態が好転し休刊は取り止めとなったのですが、佐賀競馬の専門紙が、それも二紙しかないものが二紙同時に、休刊の意思を示した事は衝撃的でした。

 専門紙の現状はどうなっているのか?を新聞社さんに状況をうかがってみました。



■「先が全く見えない」-高知・競馬研究 井上光さん

 自分は岩手の話を主に書いておりますが、岩手の新聞社さんだけでなく他地区の状況も知りたいと思い、であればこの楽天ブログで“ベース”にしている方がいない地区で、という事で高知競馬の『競馬研究』さんを紹介していただきました。以下、井上光さんのお話です。

「『競馬研究』は他の二紙(※中島競馬號・福ちゃん)と違ってネット新聞をやっていない。紙の新聞だけでやっていたので、今は新聞の売り上げは“ゼロ”です。
 お客さんが入っている頃は競馬場などで1日、100部前後でしょうか、売れていました。見ての通り高知競馬はお客さんを入れていると言っても数は少ないでしょう。それほどたくさん売れているというわけではなかったが、それすら無くなったからね。
 自分の所は競輪の予想紙もやっているが(※『競輪研究』)、競輪も無観客になっているからそっちもゼロ。競馬組合に収める用に僅かに新聞を作っているが、新聞の収入は無いと言っていい。
 現状はスポーツ紙に掲載する予想の提供分だけが収入。しかしそれだけでは、いくら少人数とはいえ会社をやっていくにはとても足りない。無観客が長引くなら将来の事を考えなくてはならないが、どうなるかの目処も立たない。先が見えない状況をなんとかしてほしいと思っています」



★岩手の特別開催時の「紙の新聞」。馬主さん用などとしてごく少数部が印刷されている。これは全国どこも同じくやっていると思います


■「前年同期の1割以下です」-岩手・ケイシュウニュース 宮崎智正さん

 地元である岩手からはケイシュウニュースさんにお話を聞きました。『ケイシュウ』『エイカン』二紙がある岩手ですが、置かれている状況はほぼ同じと思っていただいて良いのではと思います。

 「通常であれば本場・場外(※岩手の場合は盛岡・水沢競馬場とテレトラック系場外の意味)で売れる分とコンビニで売れる分と、新聞の売れ行きは概ね半々という感じでした。他地区での広域場外でも、競合の具合とか遠隔地だから配送費のほうがかかるとかいう個別の事情はありましたが結構売れていたと言っていい。それが無くなりました。
 ネット新聞やコンビニプリントでは埋めあわせできていない状況です。プリントサービスなどは販売手数料もかかるのでね。売上ということでは去年の今頃の1割以下という感触。
 ネット新聞といっても紙の新聞として印刷しないだけで、紙面を作るコストは同じようにかかるわけです。中身も同じですからね。それなのに売上が1割以下では。
 特に岩手の場合は1月から3月まで休みなのでその間は無収入で会社を維持している。本当なら、競馬が始まったここから稼いでいかないといけない時期なんです。それでこの状態では本当に厳しい。
 無観客でもコンビニ等に新聞を出すという事も検討したのですが、配送手数料がそれなりに大きいので“出すだけ赤字”かもしれない。また、これは他地区での話ですが、やはり無観客になった後でコンビニに新聞を出していた事がトラブルに繋がった例があり、色々検討した結果、出してはいません。
 ただ、無観客が長引くのであれば赤字覚悟で売り出す事も検討しなければならないとも思っています。というのは、配送業者との繋がりが切れてしまったら、いざ普通の開催が始まった時に新聞の配送ができなくなる可能性が出てくるのです。競馬場や場外で新聞を売ってくれている売り子さんも同様。離れてしまったら後々困る事が起きる。そこをどうしていくのか悩んでいます。
 厳しいのは自分のところだけでなくエイカンさんも同じだというし、全国の専門紙もそうです。どこも苦しい。佐賀は競馬組合が補助金を出すということで継続できましたが、この状況が続けば本格的に立ち行かなくなる専門紙があちこちに出てくるのではないでしょうか。
 自分たちとエイカンさんとで相談し協力しあって乗り切る策を考えるつもり。できれば他地区のような支援を頂ければいいのですが」



 今回のような話を書くと「ネットでもっと売れるように努力せよ」とか「もっと合理化して耐え凌げ」とか言われるのでしょうが、なかなかそうはいかないのが現状です。とはいえ、自分はネット新聞なんかもう少し売れているのかと思っていました。思いがけないほど売れてないというのがショックでした。

 競馬本体の売上の一種“安堵感”とは対照的に専門紙の方は岩手に限らず全国的に“危機感”しかないのではないでしょうか。無観客競馬が長引けば“生き延びられない”所もいずれ出てくるでしょう。専門紙に留まらず、競馬場内・あるいは場外発売所周辺にある飲食店であったりの関連するサービスをになう分野でも同様だと思います。
 そして更に言えば、それは地方競馬のみならずJRAでも大きな違いはないでしょう。
 無観客でも売上が維持できれば良い。それはその通りであって、本体が厳しければどうにもならなくなるわけですし、そもそも無観客でも開催できているだけ恵まれているし幸せ。それは確かです。
 ただ、枝葉の部分が弱ってしまえばいずれは本体の方の裾野も小さくなっていく、弱っていく懸念があるのも確かだと思います。競馬界全体が危機にさらされているという共通意識は心に留めておかなくてはならないのではないでしょうか。





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最終更新日  2020年04月03日 01時51分49秒



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