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2021年05月27日
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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 ファンの皆さんはすでにご存じと思いますが、5月25日の水沢12Rにおいてラブバレット号が2コーナー過ぎに競走中止、予後不良となりこの世を去りました。


★2021年5月25日水沢12R/一周目のスタンド前を通過するラブバレット


 ラブバレットは2013年の5月26日、盛岡芝1000mの新馬戦でデビュー。それから9シーズン、10歳になる今年まで常に第一線で戦ってきました。
 この間の通算成績は70戦23勝、重賞タイトルは15。2016年シーズン・2017年シーズンと2年連続で岩手競馬の年度代表馬に選ばれたほか、岩手競馬史上初となる同一重賞4連覇(栗駒賞、2016~2019)、遠征競馬で達成した同一重賞3連覇(笠松グランプリ、2015~2017)などの記憶だけでなく記録にも残る戦績を残してきたラブバレット。今回は彼の足跡をたどってみたいと思います。
 さて、とはいうもののですね、節目節目の主立ったレースの写真を拾ってみただけでも軽く60枚くらいになってしまいました。そこからさらに絞って載せていくことにしましたので若干駆け足のような形になることをご了承ください。


 まず最初はやはりデビュー戦ですね。2013年5月26日の盛岡4R、芝1000mの新馬戦でラブバレットは最初の実戦を迎えました。
 ノボジャックの産駒ですから適性はダートの方なのでしょうけども、この時のライバルはいずれも能検で退けていた相手、調教の内容も良かったことで専門紙の印はいわゆる“グリホン”、単勝も1番人気。そしてレースでも、直線で危なげなく後続を突き放し、2着以下に3馬身差をつけて優勝。見事デビュー勝ちを果たしました。




★2013年5月26日盛岡4R・2歳新馬戦/通算70戦の最初のレース

 この年はこのレースがシーズン最初の2歳新馬戦でしたのでラブバレットは2013年の“新馬勝ち第1号”でもありました。
 ちなみに、2歳から3歳にかけて鎬を削り合ったライバル・ライズラインは1ヶ月後の水沢でデビュー。
 もうひとつちなみに言うと、ラブバレットが芝を走ったのは2歳時のこの新馬戦と若鮎賞の2回のみ。そしてノボジャック産駒の非常に数少ない芝での勝ち馬(地方所属馬としては唯一)となっています。

 さて、その芝の若鮎賞では6着に敗れたものの、続くビギナーズカップでは1番人気に応えて優勝。デビューから5戦4勝で重賞初制覇を達成。


★重賞初制覇は2013年9月7日のビギナーズカップ


 そして挑んだ若駒賞。1番人気に推されたラブバレットでしたが2番人気ライズラインに敗れて2着。南部駒賞でも再び同馬に敗れて2着。しかしライズライン不在の寒菊賞を制した後の金杯では雪辱を果たす勝利。この世代は“2強”であると改めて見せつけて2歳シーズンを終えました。



★2013年南部駒賞/ライバルとなるライズライン(左)とラブバレット(右)

 ライズラインとの戦いは、3歳戦の後はラブバレットが短距離路線、ライズラインはマイル~中距離路線へと分かれたものの、距離を変えコースを変えしながら結局ライズラインが岩手を離れた2016年まで続きました。3歳春はライズライン優勢と言わざるを得ない結果でしたけども、2016年頃になるとマイルでもライズラインに先着したりしていて、なんというか面白いものだなと思ったものでした。
 この時期はナムラタイタンという強敵もいましたしね。ラブバレットもライズラインも結局ナムラタイタンには一度も先着できなかった。ラブバレットにとっての“地元のライバル”といえばライズライン、そしてナムラタイタンという事になるのでしょうね。

 3歳夏の骨折もあって戦列を離れていたラブバレットが実戦に復帰したのは2015年3月30日の水沢ダート1400m『スプリント特別』。8ヶ月ぶりの実戦、馬体重は+27kg・古馬と戦うのは初めてというだけでなく3歳戦の印象も冴えなかった事もあってこの時の単勝人気は7番人気。しかしそんな評価などものかわ、4角先頭から押し切ってV。


★2015年3月30日の水沢第9レース/これが古馬初勝利であり自身の1年2ヶ月ぶりの勝利にも。そして3連単100万馬券・・・。

 7番人気1着で単勝配当は4,490円。馬番3連単の配当はなんと115万7940円。2着3着も人気薄が突っ込んできたためでラブバレットのせいだけではないとはいえ、同馬が絡んだ馬券としてはダントツの高配当。“次点”は2017年の絆カップ、1番人気のラブバレットが2着で6番人気のタイセイファントムが勝った際の3万6720円ですから二桁違います・・・。

 この年の5月にはさきたま杯で初めてのグレード挑戦。結果は4着でしたが4角で先頭を争い、勝ったノーザンリバーこそ脚色が違いましたが、2着争いにはゴール寸前まで食い下がっていたという見せ場たっぷりの内容。それまではある意味“岩手ローカル”での強さだったのが、これで全国レベルでもやれるのではないか?という予感というか手応えというか、そういう期待度が大きく増したように思います。






★初のグレード挑戦となったさきたま杯/4着でしたが見せ場は十分


 2015年11月の笠松グランプリで優勝して“初の古馬重賞制覇”が遠征レースになるというこれまたレアな成績を残し、年が明けて1月のトウケイニセイ記念を制して地元でも古馬重賞制覇。


★地元での初めての古馬重賞制覇は2016年1月のトウケイニセイ記念


 2016年3月には高知・黒船賞に遠征。“菜七子フィーバー”の方が注目された感があったこの時は7着。ラブバレットの遠征先としては最南端になりました。




★2016年黒船賞


 この年から“春先遠征、夏は地元の短距離路線、秋冬は笠松グランプリを絡めつつ遠征”の出走パターンが定着しましたね。また、地元短距離路線では負け無しの戦いが始まり、栗駒賞4連覇はこの2016年からスタートしています。


★2016シーズンの岩手競馬年度代表馬に選ばれた際のラブバレット号関係者。翌2017シーズンにも年度代表馬に選ばれ2年連続の選出となりました


 “ラブバレットにとって最も惜しかったレース”を挙げるとしたら、2017年のクラスターカップに、やはりなるのではないでしょうか。
 直線残り100mで抜け出して先頭に立ったラブバレット。一瞬勝ったかと思った瞬間、ブルドッグボスに捉えられての2着。タイム差無しのクビ差、自身も当時のレコードを破る時計で走っていながらの2着は“惜しい”という一言で表現するにはあまりにも惜しすぎる結果でした。


★2017年クラスターカップ/自身もレコードで駆けながらの2着・・・


 同年秋には笠松グランプリ3連覇達成。暮れの兵庫ゴールドトロフィーで2着、翌年6月の北海道スプリントCでも僅差の2着。この頃の、2016年夏頃から2018年の夏頃にかけてがラブバレットの競走生活のピークの時期だったのかなと、今にして思いますね。


★2017年11月/笠松グランプリ3連覇


★2018年1月/根岸ステークス




★2018年4月/東京スプリント





★2018年6月/北海道スプリントC


 しかし、この頃から歯車が狂いだしたようにも感じられました。岩手競馬の禁止薬物問題とその影響による遠征の制限。2018年11月のJBCスプリント、笠松グランプリには出走できたものの12月の兵庫ゴールドトロフィーは岩手競馬の開催自粛の影響を受けて出走できず。そのことが岩手を離れてJRA移籍へと繋がります。
 また、2018年の栗駒賞のあと岩鷲賞に出走しなかったように、この頃から“好走した後の反動”的なものも感じられるようになってきていたのかな、とも思います。
 この年のラブバレットは7歳。高齢になっても走る馬が多くなっていて、例えばこの年に挑んだグレードレースなどでも7歳なら出走馬平均の中でも若い方だったりもするのですが、競走馬としての“残された時間”を意識せざるを得なくなってきたのもこの頃だったのではないでしょうか。

 2019年6月、JRAから岩手に戻ってきたラブバレットは栗駒賞・岩鷲賞を連勝。特に岩鷲賞ではもったままで8馬身千切る圧勝を演じて見せ、まだまだ強いということを強烈にアピール。


★2019年6月30日栗駒賞/同一重賞4連覇の偉業達成


 しかし、またもやしかし、11月の笠松グランプリはまたしても禁止薬物陽性馬発生の影響を受けて出走叶わず。12月の兵庫ゴールドトロフィーには南関東に移籍した状態での出走に。

 そういう形で始まった2020年は苦心の1年になりました。岩手に戻っての5月のスプリント特別は4着。続いて挑んだ重賞・早池峰スーパースプリントは3着。後者はダートでは初めての1000m戦にしては健闘していたと感じましたが、以前の“ラブバレットらしさ”が薄れていたようにも思えた春の2戦に。


★2020年5月24日 早池峰スーパースプリント/中団から追い上げるも3着まで


 それだけに11月、秋の2戦目で勝った時には見ていた自分も嬉しかったですね。最後は追い上げられる形ではありましたが勝ちは勝ち。“らしい”勝ち方ではなかったかもしれませんが、これで1年あまり続いた良くない流れを断ち切れたのならそれで良いと思ったのです。


★2020年11月22日/スプリント特別で1年ぶりの勝利を挙げる

 ですが、残念ながらそれがラブバレットの最後の勝利となってしまいました。

 2021年の春からのラブバレットは2着・3着・2着。着順の数字こそ悪くは見えないものの内容的には完敗と言うしかない結果。


2021年3月29日桃花特別/タイセイブラストだけでなくフェンドオフにも交わされの3着

 そして春4戦目の5月25日水沢12R。スタンド前を馬群の中で進んでいったラブバレットが、もう一度ゴール板を通過することはありませんでした。


 改めてラブバレットという馬を振り返ってみれば、いろいろと驚きがあった馬でしたね。
 3歳の春頃、クラシック路線では勝てずに居た頃は、2歳時の活躍ぶりと3歳時の成績を比べて、ライバル・ライズラインとも比べてもみて、その時点では「もしからしたら早熟な馬だったのかも」と感じざるを得なかった。それが古馬になって一皮もふた皮もむけるような強さを発揮していった。ライズラインとの差が最終的には逆転してしまったのは最初の方で触れたとおり。早い時期の走りだけではその馬の本当の力を見定めることはできない事を、ラブバレットから改めて教えられた気がします。

 “一線級との戦い”を騎手がどう挑んでいるか?をうかがう事もできたように思います。
 2017年のクラスターカップ、あの一番惜しかったレース。のちに山本聡哉騎手にその時の話をうかがったさい、その時の仕掛けのタイミングについて何度もあの瞬間を反芻していた姿が記憶に残っています。
 岩手の中であれば自分の競馬をするだけで勝てるラブバレットですが、全国区に出れば自分より速い馬を前に置いて、岩手ではあり得ないほどの末脚を使ってくる馬を後ろに置いて戦うことになります。山本聡哉騎手は「後ろの馬の末脚を可能な限り封じ込めて、なおかつ前の馬にも楽をさせない展開。その微妙なタイミングを掴みたい」とも言っていました。その後のラブバレットのグレードレースでの成績が一段階良くなったように感じるのは、2017年のクラスターカップでの“教訓”を得てより良い戦い方を探り続けた鞍上とそれに応えたラブバレットの共に成長していく姿だったのかもしれません。

 今にして思えば、自分の都合以外の所で何度も流れを狂わされたのが不運というか不幸というか。いや、そのどちらも・・・というべきでしょうか。移籍を強いられることなくずっと岩手にいることができていれば。この冬にしても、度重なる雪による取り止めがなければ。高齢になってからのローテーションの狂いは負担も大きかっただろうだけに、なにもあんなに寒くならなくても・・・と愚痴を言いたくなります。

 競走馬の定めとしていつか別れの日が来る事は分かっていた。でもそれがこんなに早く来るとは思ってはいませんでした。運命の流れが少し変わっていればこういう結果ではない、“違うルート”もあったかもしれないとも思うだけに残念でなりません。
 ただ、それを含めても、いつかこういう時は来る。今はただ、長い間頑張ってくれてありがとうと、良いレースをたくさん見せてくれてありがとうと、そう言って見送ってあげるほかないのでしょう。







最終更新日  2021年05月28日 06時32分15秒



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