家を題材にしたことわざ・慣用句
日本には古くから「家」を題材にした「ことわざ」や「慣用句」があります。最近の若い方はあまり使わない言葉かもしれませんが、その意味を調べてみると結構面白いものがありますので、少し紹介します『屋上屋を架す』屋根の上に更に屋根を作ると言う事から「無駄な事をする」の意味です。『床の間の置物』「実用にはならない」の意味で「もっともらしい地位には就いているが、実権を与えられていない人の事」を指します。『軒(庇)を貸して母屋を取られる』狭い軒下に入れてやった者に、いつの間にか家の本体の母屋を取られてしまったという事から、面倒をみてやっているつもりで、気が付いたら自分の身が食われ、危うくなってしまっている、つまり「恩を仇で返される」の意味です。『半畳を入れる』この場合の「半畳」とは、芝居小屋の座敷で観客が敷く小さな「ゴザ」の事を表し、役者の芸に不満な時、観客がこの「半畳」を舞台に投げつけた事から、「他人の行動に非難や冷笑を浴びせる」の意味です。ま、今で言う所の「ブーイング」ですか?『婿は座敷からもらえ。嫁は庭からもらえ』「婿は身分が上の人をもらえ、嫁は身分の低い人をもらえ。」の意味で、座敷は上、庭は下を表しています。夫婦仲・家庭内がうまくいく縁組の事を表しています。『葦の随から天井のぞく』葦(よし)の茎の中の中空の細い所を通して、広い天井を覗き見ると言う事で、「天井」とは広い世間の意味です。「狭い自分の見解で、世間の複雑な広い問題を論ずるのは無意味であり、間違う事もある」事を戒めて言う言葉です。『門前市を成す』門の前に人が大勢集まってざわざわしているので、まるで市場があるようだと言う事で、「特定の場所に大勢の人が集まる」様を表しています。『門前の小僧習わぬ経を読む』寺の門前にいる子供は、習わないのに一人でお経を読む様になると言う事で、「正式には学ばなくとも、いつも聞いているといつの間にか自然に頭に入ってしまうのだ」と言う意味です。また、「優れた人の傍らで生活していると、直接教えは受けなくても、その人の言動から感化を受ける事。」の意味でもあります。『門外漢』門の外の人と言う事で、「漢」は人の意味です。中国・漢の帝国が周辺の国を征服していた頃、征服された国の人は「漢の国の人」は単に「漢」と呼び、これから広く「人」の意味で使われる様になりました。「門内に居る人は門人・門弟で、教えを受けている人、身内」と言う事です。従って、門外漢は「関係の無い人、畑違いの人。」と言う意味です。『梁上の君子』後漢書から、「梁の上の泥棒」を指して呼んだ言葉で、「ねずみ」の事を言う場合もあります。『敷居が高い』この場合の敷居とは、玄関の敷居の事で、「何か悪い事をしてしまって、相手の家に行きづらい事」を意味します。『壁に耳あり、障子に目あり』どこに誰が隠れて聞いているともしれない。「秘密はもれやすいから注意せよ。」の意味です。『男は敷居をまたげば七人の敵あり』「男は外に出ると生存競争の相手が大勢いる」と言う意味です。『起きて半畳、寝て一畳』いくら大きな家を建てても、起きていれば半畳あれば足り、寝ている時でも一畳あれば済むと言う事から、「金ばかり追っても所詮限度がある」と言う、諦めの言葉です。『うなぎの寝床』間口が狭く、細長い空間の事を言います。昔、京都では家の間口に応じて税金を取ったので、この様な家が増えたのだそうです。『畳の上の水練』畳の上で泳ぎの練習をする様に、「理論は知っていても、経験が伴わなければ無意味である。」と言う意味です。いかがですか?知っている言葉はありましたか?あんまり使う事は無いかもしれませんが、覚えておいて損は無いと思いますよ