でんきやかん

2014/04/07(月)13:11

全ての抗菌薬が効かない多剤耐性菌頻発

国立病院機構大阪医療センター(大阪市)で少なくとも患者2人が死亡した大規模な院内感染の原因になった新型耐性菌「CRE」は、通常の検査では検出困難な「ステルス型」と呼ばれる種類だと分かった。 5年前に広島県で初めて見つかった新しい型で、治療が手遅れになりやすい特性がある。 複数の専門家が「日本で生まれたと見られるCREが、西日本に広がりつつある」と警告する。 2010年7月からの約3年半に入院した114人の患者が保菌・感染していた。この耐性菌による大規模院内感染の報告は国内では初めてという。 センターによると、114人のうち、12年12月にがんで入院していた60代女性が、13年5月には肺炎の70代女性が、いずれも抗菌薬が効かずに敗血症で死亡。2人の血液からMBL産生菌が見つかった。  広島大の鹿山鎮男(しずお)助教らは、2009年に初めて広島県内の複数の病院からステルス型CREを5株見つけ、その後、兵庫県の病院からも8株見つけた。検出数は年々増え、12年10月までに2県で計87株にのぼる。 その間にこの菌による死者が少なくとも1人出た。鹿山助教らが詳しく調べると、ほぼ全ての菌で、リング状の細胞内物質「プラスミド」が同一だった。 ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ(New Delhi metallo-beta-lactamase、略称NDM-1)は2007年に発見され、2008年1月に同定された細菌の新型酵素である。 酵素であるので細菌の種類によらず耐性化させる。この酵素の遺伝子は染色体DNAとは別に存在するDNAプラスミド上にあるので、細菌の種の壁を飛び越しやすい。大腸菌、クレブシェラ菌、肺炎桿(かん)菌などでの感染報告がある。 現在院内感染で耐性菌問題の中心はアシネトバクターや緑膿菌などである。常在大腸菌に感染すると症状を見せない(不顕性感染)感染者が自覚のないまま行動し、院内感染のみならず市中感染の制御も困難になる。 また院内感染などで他の病原性の強い菌や感染力の強い菌がNDM-1を持つ(水平伝播)と、新型インフルエンザ以上の社会問題になる可能性が考えられる。

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