消費税を10%にし、社会保障目的税化せよ
民主党の主張するような消費税率を据え置いたままの国民年金の税負担案は机上の空論ですが、年金の実質負担率が50%を切りますから、基礎年金の税負担を1/3から1/2にするだけではなく、全額負担にするのも有力な選択肢です。 実質負担率が50%に満たない保険制度は既に破綻しています。団塊の世代から以降は年金の負担率は逓減すると思えるからです。ワーキングプアーといわれる世代には国民年金を負担する余裕はなく、あってもその気もないでしょう。 宙に浮いた年金は現役世代の年金に対する不信感をさらに増大させました。厚生年金は給料から天引きですが、国民年金は強制ではありませんから、納入しない人が多いのです。負担と給付の公正さが担保されていないからでしょう。 フリーターは厚生年金には加入できません。その日暮らしを強要されていますから、月1万数千円の負担には耐えられないでしょう。現在の生活に比べて将来の生活への危機感が希薄なのがこの世代の特徴なのかもしれません。 その理由の一つに挙げられるのがワーキングプアーの生活水準に比べれば格段に高い生活保護所帯の生活水準にあります。働かない者が医療費、住居費から生活費まで支給され、正直に働く者が生活に困窮する社会は間違っています。 老後の生活も働かない者は保障されていますが、年金の掛け金を払っていても生活保護所帯との格差が激しいから年金を納める気が起きないのです。実質負担率の低下は社会の構造的な歪み、格差社会がもたらしたものなのでしょう。 むしろ基礎年金を全額税負担にすれば、負担と給付の公正さが保たれます。格差社会の生み出す無年金者の増大から来る社会不安を防げます。高齢化社会の到来は年金制度、現役世代が高齢者を養う制度の崩壊を意味するからです。 日本では消費税が20%を超えるヨーロッパ型の高福祉社会には国民的な合意が得られないでしょうが、10%程度の中福祉社会には合意が得られると思います。現状維持は赤字国債だけではなく社会保障費も子孫に先送りするだけです。 高齢者も現役世代と負担を分かち合うべきですから、消費税を社会保障目的税にすれば良いと思います。団塊の世代には国民一人あたり1000万円に近い借金を負わせた責任がありますから、消費税10%程度を負担する義務があります。 与野党共に消費税アップから腰が引けていますが、ガソリン税よりも消費税の方が国民生活に密着した問題です。老後の生活が保障されていない社会は衰退するからです。明日に希望がもてない社会は閉塞感に覆われるからです。 団塊の世代は退職金もあり、年金が保障されていますが、その次の世代の老後は厳しいものになるでしょう。団塊の世代に負担能力のある内に負担と給付を公正なものにする必要があります。時機を逸すれば不可能になるからです。 小沢自民党が政策よりも政局を重視し、策を弄していますが、大衆迎合のバラマキ政策は国を誤ります。消費税、良薬は口に苦いのですが、必要な時には国民に飲ますのが政治家の役割です。政局がらみの政治は国を誤らすからです。