東野圭吾(危険なビーナス)
2018年2月24日
★★★★
大好きな作家ではあるが最近の作品には少し疑問符が付くときがあり、昔ほど読まなくなっているが、昨年の6月に読んだスキー場を舞台にしたミステリー長編「雪煙チェイス」以来、いつもの読後感を期待して読んでみた。
弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。(BOOKデータベースより)
読後感想としてはミステリー小説としては物足らなさもあったのだが、物語としては私は好きでした。Amazonのレビューでは男性目線のヱロチックな表現に手厳しい指摘がありましたが、ユーモアを交えだ主人公の特徴を随所に表したいだけなので、そういった部分を含めて自分は楽しめたと思う。
本書の中に出てくる素数はコンピュータの暗号化にも出てくる複雑な数字のマジック?のようで数学者には今なお研究され続けられているため、暗号化のロジックを勉強した自分にとっても興味深い。
本作はこれら数学者や脳科学・医療の研究者が脳の実験を人間で行った結果、サヴァン症候群が発症し、その結果人が描いたものとは思えぬ緻密で精密な絵を描いてしまうという謎から事件は展開していく。
主人公の伯朗と楓(多分このお方がビーナスです)が明人を探す捜査劇がなんもと面白くこの先の展開がどうなっていくのか気になりまくりのストーリーでラストの大どんでん返しにはア然としたのは私だけではないでしょう。また、最後の楓の一言が気になります…
映像化したら更に面白い作品になるはずなので期待してます。東野圭吾らしい作品では無かったですが、これもありかなぁと納得し、また東野圭吾の幅の広がりを感じた魅力ある作品でした。