172873 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

粗忽のたかびー

粗忽のたかびー

Calendar

Category

Keyword Search

▼キーワード検索

2023.02.09
XML
カテゴリ:緩和ケア
今年1月にホスピスに紹介された50代前半の男性Mさんのことを記しておく。

一年半前にstageⅣの大腸がんと診断され、姑息手術を受けたのち、抗がん剤治療を続けてきた。
昨年12月に受けた最後の抗がん剤レジメの効果判定の画像診断を今年1月にうけた。しかし無効であり余命3ヶ月と告知されての紹介だった。

1/17の初診外来に妻と二人で来られた。そのときは妻に支えられて何とか歩いていた。10日後の1/27に漸くベッドが空き入院して貰った。その時は既に車椅子が必要となっていた。

ホスピスをバックアップベッドにしたいと希望される方には4泊5日の体験入院をして貰っている。緊急時の入院をスムーズにするためだ。
我々はその患者さんの病歴と人となりを知ることが出来る。患者さんはどんな環境か知ることができる。そうするとお互い緊急時に慌てなくてすむ。

入院時は大学生の娘さん、高校生の息子さんも一緒についてきてくれた。ホスピスは全て個室だ。さすがに4人が入ると個室も狭く感じる。

いつものように、「Mさんが一番困っていることは何ですか?」と尋ねた。
「1月に余命3ヶ月と聞いたんやけど、今の状態では桜は観れそうにないなあ。最後に満開の桜を家族と一緒に観たかったんやけどな。」と努めて明るく話すMさん。

娘さん、息子さんも涙をこらえている。

「明日のことを思い煩うな、と言いますから、今日出来ることを考えましょう。退院したらまず何をしますか?」と次に尋ねた。

「毎年、家族で越前がに、食べに行っててん。いっつも世話になってる民宿があるねん。せやけど、一昨年はコロナで行かれへんかった。去年は治療してて行かれへんかった。最後に行きたいわあ。」

(続く)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.02.10 06:21:54
コメント(0) | コメントを書く
[緩和ケア] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.