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テーマ:今日の出来事(288503)
カテゴリ:緩和ケア
今年1月にホスピスに紹介された50代前半の男性Mさんのことを記しておく。
一年半前にstageⅣの大腸がんと診断され、姑息手術を受けたのち、抗がん剤治療を続けてきた。 昨年12月に受けた最後の抗がん剤レジメの効果判定の画像診断を今年1月にうけた。しかし無効であり余命3ヶ月と告知されての紹介だった。 1/17の初診外来に妻と二人で来られた。そのときは妻に支えられて何とか歩いていた。10日後の1/27に漸くベッドが空き入院して貰った。その時は既に車椅子が必要となっていた。 ホスピスをバックアップベッドにしたいと希望される方には4泊5日の体験入院をして貰っている。緊急時の入院をスムーズにするためだ。 我々はその患者さんの病歴と人となりを知ることが出来る。患者さんはどんな環境か知ることができる。そうするとお互い緊急時に慌てなくてすむ。 入院時は大学生の娘さん、高校生の息子さんも一緒についてきてくれた。ホスピスは全て個室だ。さすがに4人が入ると個室も狭く感じる。 いつものように、「Mさんが一番困っていることは何ですか?」と尋ねた。 「1月に余命3ヶ月と聞いたんやけど、今の状態では桜は観れそうにないなあ。最後に満開の桜を家族と一緒に観たかったんやけどな。」と努めて明るく話すMさん。 娘さん、息子さんも涙をこらえている。 「明日のことを思い煩うな、と言いますから、今日出来ることを考えましょう。退院したらまず何をしますか?」と次に尋ねた。 「毎年、家族で越前がに、食べに行っててん。いっつも世話になってる民宿があるねん。せやけど、一昨年はコロナで行かれへんかった。去年は治療してて行かれへんかった。最後に行きたいわあ。」 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.02.10 06:21:54
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