カテゴリ:文系日記
今年の三島賞が発表されまして、遂に我が「古川日出男」が、受賞しました。
古川日出男はワタクシがプロフィールのところで好きな作家の最初に掲げている人です。 受賞作は去年出た連作短編集「LOVE」。 ↓ 内容を大まかに言えば、都会(目黒辺り)の猫を数える少年と、その周辺に関わる孤高だが魅力的な人々の物語。 って感じなんですが、その特徴的な「文体」は好きと嫌いとがはっきり分れると思います。 短く、客観的で、しかもまるで耳元で囁かれているかのように、そして時に心臓をえぐるかのような文体。 駄目な人は駄目でしょう。 よくその文体が比べられるジェームスエルロイなんかも確かに読みにくい。 短編ひとつひとつに実際の地名番地が使われているせいか、リアルなのにも関わらず絶対にありえない不思議感。 けど心の奥底にあるひょっとしたらと思わせる現実感。 それらが、入り交じって最終的に一つの話に収束する。 宮部みゆきなら5倍くらいの厚さの超大作になってたであろう話をスピード感溢れる文章で一気に読ませます。 初めて古川日出男の小説を読んだのは、2004年「サウンドトラック」という小説でした。 ↓ ミステリーというよりは近未来SFとでも言うべきな、油ののっていた頃の筒井康隆や初期村上龍のように、スピード感に溢れ、一瞬たりとも休む事を許さない。 ある人がこの小説を称して「短距離走のスピードで走るフルマラソンを、同時多元中継で何本も見せられるようだ。」と言っていましたが、まさにその感じ。 文句なしにハマってしまいました。 その後「ベルカ、吠えないのか?」で、直木賞ノミネート、「このミス」ベスト10入り、本屋大賞ノミネートなど、だんだん少しずつですが認知度が上がってきたんだけど、まだまだ一般的には無名に近いんです... たぶんこれを見ている人の大半が知らないのではないでしょうか? でしょ? もし最初に読むのなら「gift」という短編集がおすすめです。 一番とっつきやすいと思います。 読んでみてね。 いずれは直木賞をとるんだと思うんですが、受賞時期を外しまくりボケまくる直木賞なので、いつのことに... ねぇ、豊崎さん。(書評家豊崎由美氏:我が心の師。面識は無い。) 写真は 最新刊「ルート350」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 28, 2006 10:58:13 PM
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