Love End. / 【追記】 瞳を閉じて。
零れ落ちたものに、未練がある訳じゃあない。ただ僕は、過去から逃げたくなかっただけ。ただ僕は、記憶を葬りたくなかっただけ。僕は僕を、亡くしたくないから。それでも必然的に事は進み、過去の想いは零れ落ちた。願いを込めて、哀悼を表して、僕は君の想いが込められていた指輪を葬った。ゆっくりと、静かに。+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*果敢無げに音を立てて、君は僕から離れていった。さよならもありがとうも言わせないまま。僕は君のことを如何しようもなく憾んだけど、僕は君のことを如何しようもなく好きだった。だから絡み付いてくれた糸に、最期の表意を贈ろう。そして亡くした想いに別れを告げて、僕はあの場所へ立ち戻ろう。淀みながらも君を見つめた、この瞳を閉じて。伊咲夜。