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江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

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2021年11月20日
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​     ​​ 江戸切絵図から消された町 4
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     ​​ 車善七と非人寄場と溜​​
 ご隠居は二階の階段を上ると、南の障子を開けた。
 「彦五郎、よく見てみな、何が見える?」
 「綺麗な田圃が拡がってますね、バッタでもいるんですかい?」
 「そうじゃねえよ、ほら、そこに見える藁の長屋が連なってるだろう、そこが、車善七手下の非人小屋だよ。」
 吉原遊郭は二間幅のお歯黒どぶと呼ばれる汚水の溜まった堀で四方を囲まれていた。その二間幅のお歯黒どぶを挟んで、車善七の屋敷と手下の非人の住む 藁小屋(わらこや)が幾棟も並んでいた。
  非人頭車善七の役所があり手下の者の居宅三百六十三軒の居宅である。さらに、田を挟んで東の方には非人寄場と溜が見えた。
 「なっ、彦五郎、この絵図を見てみな、車善七の屋敷のある場所は白抜きのままだろう、弾左衛門の新町(しんちょう)とおんなじ、地図から消された町なのよ、人の目につかねえように、新町は寺の尻で隠されてたが、車善七の屋敷は。この吉原のどんどまりの羅生門河岸からしか人の目にはいらねえ場所なんだ」
  東の方に見える、非人寄場とは、幕府が江戸市中を徘徊する非人を収容し、彼らに手業を教えて更生させるために、浅草の非人溜の後ろに設けられた。人足寄場にならった施設で、集められた非人は草履や草鞋づくりをさせられていたという。
  その裏手が「溜」だ。絵図にも「溜」とだけ書かれている。伝馬町牢屋敷にて重病になった囚人、遠島に値する重罪を犯したが15歳に達していない者、追放刑を受けたが身元引受人がいない無宿などが収容されていて900坪の敷地があった。幕府の管理下だが、溜を管理する役人は全て非人なので、非人溜と呼ばれていた。
 溜の四方も田圃だ、つまりこの場所も人目を避けるように作られていたのだ。
 吉原と、二間幅のお歯黒どぶを挟んだ非人小屋には、吉原の三味の音や男女の痴情の呻き声も聞こえのだろう。だが、非人が廓に入れるのは、紙くず拾いの時か、死んだ遊女を投げ込み寺の浄閑寺に運ぶ時だけなのかもしれない。
 吉原の北方には小塚原の刑場があり、非人たちは、小伝馬町の牢や小塚原(こづかっぱら)の刑場へ狩り出され、磔、獄門、埋葬など矢の者の手伝いとして残酷な任務に従事させられていた。その小塚原の刑場は「し置き場」と絵地図には記されている。
 
  ご隠居と彦五郎、吉原の毛饅頭も食せずに、大門を潜った。
  暮れ六つ(夜6時ころ)の鐘が浅草寺の方から聴こえると、吉原では、一斉に清掻(すがかき、三味線)が鳴り響いて、夜店が開き、八丁土手の両側に並んだ水茶屋の丸提燈にも灯りがはいり、その場所だけが闇の中で明るく照らしだされていた。
 幕府は都合の悪い場所は囲い、人目につかぬように隠し江戸の絵図からも消した。
  「なっ、彦五郎、この絵図にも、車善七の屋敷のある場所は白抜きのままだろう、弾左衛門の新町(しんちょう)と同じよ、地図から消された町なのよ、、、」 



  おわり   朽木一空
 





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最終更新日  2021年11月20日 10時30分06秒
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