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2018.03.10
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カテゴリ:調べもの
ちなみに吉屋信子は、大正半ばに「大阪朝日新聞」の公募で一位とってプロデビューしたひとです。
次の「海の極みまで」載ったんですが、そこから昭和20年代に一種の「和解」するまで、朝日とは対抗もしくはぐだぐだなこと(吉田茂との対談→天声人語で言葉狩り→毎日で反論→不買運動)になってます。週刊朝日で対談記事が載るあたりまで酷いことがあったやうな。

が、その後週刊朝日に書いて→朝日に書いて→最後に「全集」(全然全集じゃない)を朝日新聞出版社から出してるというなかなか興味深いwww
個人的感想は最後に。

*******

地の果まで


<あらすじ>


 東京市外の巣鴨のほとりに、一つの家族が住んでいる。

 三人姉弟とその一番上の姉の夫である。

 姉弟は春藤という外務省通訳の子供で、一番上の姉は直子、真ん中の娘が緑、そして末の弟は麟一と言う。

 この三人の父である春藤氏は、園川領事に伴われた赴任先のイタリーで病死した。残された母・お俊は三人の子供を抱えて、宇都宮の妹の嫁いだ先である浜野隆吉という菓子屋を営んでいる家に世話になって暮らしていた。そしてこの家に子供三人を残して、自分は上京して園川領事の留守宅に残してある令息令嬢達のお付きとして奉公していた。そして宇都宮へ送金していた。

 だが、その母も、やがて身体を悪くして、亡くなった。

 残された姉弟はそのまま浜野の家に引き取られる。長女の直子は、小学校を出てから家事手伝いをしながら二十歳まで暮らしていたが、浜野の主人の異母弟の浩二に思われ、妻に乞われて恋女房となった。

 浩二は多少女のような優しい気質の青年で、その点が異母兄には気に入らなかったらしく、彼は家の中で小さくなっていた。そして、結婚の際も激しく反対され、分家しようにも、資本を出してもくれず、せめて家だけでも出ようと、春藤の父の通訳時代の知り合い、志賀氏を頼り、その縁で園川氏の関係している会社に職を得て、何とか東京で住めることにらなったのである。そしてその際、この三人の姉弟が居るのもそこである。

 姉弟のうち、直子は素直で優しい、女らしい姉であるのに対し、緑は勝ち気な少女だった。尋常6年を出ると(小学校卒業)、叔父叔母に黙ってミッションの高等女学校(5年制の女子中学教育機関)に入学願書を出し、子供の頃から可愛がってもらった女宣教師に叔父を説き伏せてもらった。そしてその後もミッションの補助を受けて、東京市内の英学塾(高等女学校の上の学校。女子の教育機関では専門学校が当時は最高のもの。現在なら女子大学にあたる)に入る。

 弟の麟一は、小学校卒業後、店で使われるところだったのを、学問で立っていきたいという希望を出し、とりあえず師範学校へ入る。が、二年目に、どうしても師範は嫌だ、中学(現在の中学・高校が一括になったもの。尋常と高等がある)へ行きたい、と言って、東京の姉夫婦のところへ逃げ込む。

 だがそのために、隆吉は浩二夫婦とも、麟一ともあまり関係が良くなくなる。緑の進学で、さらに溝は深まる。

 麟一は自分に自信がない。特に、姉達が自分の将来に多大な期待をかけていると思うと気が気でない。姉、特に緑は、自分の一生は弟にささげる、という位の勢いであるから、麟一は余計に萎縮してしまう。

 緑は学校では、梅原敏子という人と仲が良い。彼女は目的のためにがむしゃらになっている緑とは正反対に、何の目的もなくずるずると生きてきた、とぼんやりつまらながっている人だった。せめて宗教(キリスト教)でも信じたら、と勧めるが、自分の家は皆クリスチャンだと言う。そして「神を信じている者が、こんなに寂しくていいのかしら?」と懐疑的な言葉を吐く。


 春の休みが過ぎると緑は寄宿舎へ帰った。家を出る際、姉の直子と、弟の心配をする。

 その弟は、中学の友人、間宮である。間宮は成績がいい訳でもないが、腕力は強かった。そして、身体も意志も弱い麟一は、色々な意味で間宮の庇護を受けていた。彼は、街をぶらついているところを「緑に見つかる」と逃げる麟一をなじる。そして麟一の一高(ようするに現在の東大教養部)進学を馬鹿にする。

 遅くなって帰る麟一を、直子は心配する。

 麟一は、父親の写真が恐ろしくて、壁に向け返る。それは、緑が、「お父さんの跡取りだから、お父さんの野望も受け継ぎなさい」と渡したものだった。だが、彼は、そのような野望などなかった。むしろ、オペラの楽譜を見て楽しむような青年だった。だが、それではいけない、と思い、楽譜を破り捨てる。

 そんなある日、叔父の隆吉がやってくる。隆吉は、麟一をこの上の学校へやるということは念頭になく、宇都宮へ帰らせ、銀行に口を聞くから、と言う。

 その件について決着がつかないまま、寄席へ皆で出向く。それ自体は楽しめたが、緑は、やがて、あんまり皆が馬鹿げているので腹立たしくもなった。彼女は二時間も三時間もぼんやりしていると、苛々してくるのである。

 帰り道に救世軍(「神の軍隊」として組織されているキリスト教の集団。廃娼運動でずいぶん力を尽くした。街頭へ出て太鼓を鳴らし、ラッパを吹いたりして、賛美歌を歌ったり、パンフレットを配ったり、など、布教運動を繰り広げていた)を見かける。その中で、神学校の生徒が一人、説教をしていた。坂田という青年は、緑も知っている人だった。

 翌朝、機嫌のなかなか良い隆吉に、浩二は麟一の件を持ち出す。高等学校の試験を受けさせ、大学へやりたい、と。だが、自分たちにそれをやってやれるだけの資金はない、と。だが、「馬鹿な冗談はよせ」と一喝する。隆吉は隆吉なりに、麟一の将来を思って、勤め人にさせたいと思っている。その方がずっと麟一のためだ、と。

 緑は「たった一人の春藤家の男の子だから」と叔父に哀願する。学歴もないためにお雇通訳で終わった父のようにさせたくはない、どんな苦労をしても、立派に学校へやりたい、と。

 だが、隆吉は「程度の低い独立なんていらない」と言う緑に、腹を立て、要らぬ世話をした、勝手にすればいい、と言う。浩二も麟一も、その様子を見て、とりなすように謝る。だが、緑は、ヒステリー状態になり、「叔父さんはわたし共の若い芽生えほ踏みつける悪魔だ」と叫び、気を失う。

 隆吉は完全に怒り、直子が浩二が麟一が何を言おうが無駄だった。そして、全ての援助を打ち切ると言う。

 どうしようもなく、姉弟は再び志賀氏を頼る。すると志賀氏は、園川氏の家へ、麟一を書生としたらどうだ、と提案する。そして世間の風に吹かれるのもいい、と直子と緑は話を決めてしまう。

 そして麟一は園川家へと出向く。

 一方緑は、学校で久しぶりに敏子と話をする。彼女は入学試験の騒ぎをきいて「男に生まれなくてよかった」と言う。緑は逆である。


 日曜に、四谷の教会に行く緑。そこでも敏子を見かける。そしてその日、説教壇に登ったのは、神学校生の坂田だった。彼は意気揚々と常の神父たちと違う新思想を取り入れた話をする。だが、もちろん、その新式な説教には、反発する声が上がる。緑はその反発に対する坂田の様子を面白く見守る。坂田は神経質なほどに自分の思想と主張を曲げない。やがて調停者が出る。そして旧来の思想に対し涙ぐむ人々に、緑は「なんて安価で愚劣な思想」と吹き出したい思いにかられる。

 敏子が礼拝後も緑の前へ現れる。そして坂田のことを、「緑さんの兄さんみたい」と評する。そして敏子は坂田のことを「場所柄もわきまえない乱暴」と言う。自分のように心寂しいものが集い、心を慰める場所が教会である、と考える敏子は、そういう所に嵐を起こした坂田には好感情は持っていないようだった。緑は坂田の言うことは正しいと感じたので、敏子に反発する。

 敏子はその二人の全く違った考え方を、「だけどそれが真実ではない」と自分も緑も否定する。が、緑は、敏子が間違っている、貴族的なわがまま病の患者だ、私は現実に生きる娘だ、と主張する。意見は合わない。これからも合わないだろう。だが、自分にとって、敏子が一番親しめる友達だと思う、と言う。

 敏子と別れてから、坂田が緑に追いつく。一緒に帰る緑。怪しくときめく胸。だが、同時に、住所を教えてしまった、という軽々しい行為に恥じるのだった。

 やがて、坂田から手紙がくる。神学校の研究雑誌をとってくれないか、とのすすめだった。緑はけろりとする反面、がっかりする。


 その頃、麟一は、園川の屋敷で憧れだったピアノに触れる。彼は、もともと、「ガリガリの粗暴な武士道主義の中学教育」よりも、「さわやかな美しい異国の楽器」の方がよっぽど魅力があったのだ。それをかげから見ていたひとがいた。この家の、出戻りの令嬢、関子だった。彼女はあわてる彼をおさえ、もっと弾くように、と言う。

 庭の手入れを一生懸命して、疲れた身体を休めながら、あの破いた楽譜の小曲を歌っていたら、緑がやってきた。だが、彼女は会うと必ずと言っていいほど、彼を励まし、諌めるから、やっとのびのびした気持ちになれた心はふたたびぺしゃんこになってしまうのである。そして、また苦しい勉強をしよう、と暗いぼんやりとした気持ちになるのである。

 と、関子が買い物のお供を頼む。彼女は喜んで麟一に麦わら帽を買ってやる。と、街で間宮に出会い、はやされる。麟一は、関子とカフェーへ行き、夢心地になる。

 緑はある日、教会の牧師の家へ呼ばれる。牧師夫人は、坂田が緑を妻に欲しいと願っている、と聞かされる。だが、緑は、その坂田の出した「妻に求める条件」を聞いて、腹立たしくなる。彼が冷血な利己主義者だと気付いて、一瞬でも惹かれた自分が恥ずかしくなる。そして今は、弟のてめにも、結婚する気はないから、と断る。

 その沈んだ心持ちからか、いつもならけなしてしまう敏子の考えにも、簡単には笑えない。漂泊の身をうらやましいと考える敏子に何となく感心すらするが、自分はやはり弟が…と考えると、結婚も恋も自分自身も捨てて、一つの目的のために機械となればいい、と思いきる。


 夏になって、間宮が以前麟一が関子とカフェーへ行ったことを緑に話す。

 この園川家に矢野という紳士が出入りするようになった。彼は関子を後妻としたいと関子の継母であり、現在の園川家の夫人である順子に頼み込む。彼女は二人の子の継母として、世間にも恥ずかしくないように、と出戻りの娘の心配をして再縁口を考えていたのである。だが、関子は全く耳を貸さない。麟一に一生懸命ピアノを教えている。

 この関子の上には、長男の良高がいるが、彼は身体が弱い。私立大学で農業を修めたあと、伊豆に山や農地を買って、そこに永住のつもりで住宅を建て、美しい若夫人と静かな生活をしている。

 久しぶりに家へ帰るが、麟一は、以前間宮が緑に告げ口したことをたずねられ、困惑する。その相手が当家の令嬢ということは判って、一応の安心はする。そして、そのすぐ後、麟一は、関子やその異母妹と異母弟のお供わして伊豆へ出向く。そして、その車中で、自分に向ける関子のまなざしに気付く。


 兄の良高の妻、千代子は、冷たい蝋人形のような美しい人だった。だが、その中に、麟一は、母のような聖らかで静かな優しい愛情をこの人に感じた。時には妖婦めいた関子と対称的である。この人、内輪どうしの集いにも、自分から身を引くようなところがあった。いつも寂しそうだった。そしてとうとう、自分は寂しいんだ、と千代子には告白してしまう。姉たちとは違った自分の気性のことなど、素直に話してしまう。

 千代子は、「寂しいと思うのは、我侭な心て゜しょうか」と言う。そんな彼女の言葉は麟一の心に染み通る。そして、関子がその様子を見ている。


 一方、直子は宇都宮へと出向く。せめて叔母には会いたい、と。そして隆吉夫婦のの考えていた計画を知る。幼なじみで慕っている麟一を、娘・お絹に添わせたかった、と。直子は驚く。

 そのことを帰ってから浩二と緑に話すが、また緑は「人種改良説」云々と反発する。が、その自分の口調の中に、あの坂田と同じものを感じ、心寂しいものを感じる。

 浩二の会社で労働争議が起こり、もしかしたら自分は会社をやめるかもしれない、だが、なんとしても直子と、姉弟は養ってみせる、と重々しく言う。結果として、労働争議には勝利し、給料の上がる転勤話が出る。それが北海道だと言う。直子は浩二についていくことにする。浩二は麟一の学資くらい送る、と約束する。緑は感謝感激して泣き崩れる。


 伊豆で関子は病気がちになる。そして、千代子と仲良くなる。自分のかつての結婚生活の不幸を彼女に話し、麟一に恋している自分を、23で始めて恋を知った自分を告白する。千代子は、自分は人妻であり、これからさき、そういうことはかなわぬが、関子はこれからがあるから、と勇気づける。

 そして関子は変わる。派手好きのはしゃいでいる人が落ち着いて寂しげになった。そして、兄良高も、その変わった妹のために、再縁の話を断固として反対した。その甲斐あって、矢野氏との話は立ち消えた。


 浩二夫妻は北海道へ旅だった。園川家の方からは、千代子の申し出によって、麟一をまだ書生として止めておくことになった。そして麟一は千代子の口から、関子の自分に対する思いと、最近の変化を聞く。そして彼は関子のために変わろうと決心する。千代子はそれを見守る決意をし、東京の屋敷に残る。


 冬、緑が血相を変えて園川家へ乗り込み、弟を返せ、と怒鳴り込む。志賀氏から、彼女が受け取った手紙には、麟一がこの家で関子や千代子の愛玩物にされている、というものだった。関子も千代子も半狂乱の緑を静めようとする。緑は「悪魔」「毒婦」と二人をののしる。千代子は麟一にも自ら選び取る運命がある、という。緑は姉の手で弟の輝く運命を築く、と主張する。


 その騒ぎの中、自分がいるからいけない、と手紙を残して麟一は失踪する。死をもって償う、と。

 緑ははだしのまま、屋敷を飛び出し、雨の中、狂ったように走る。巡査が怪しんで捕まえる。周囲の人々は狂気女だ、という。そこへたまたま通りかかった敏子が彼女を助ける。


 残された千代子は、せめて関子のために、と伊豆の夫へ電報を打ち、呼び寄せる。そして志賀に話を聞こう、と居所を聞くと、彼は知り合いの豪農の娘の結婚式へ行っているという。どうやら相手は坂田らしい。


 呼び寄せられた良高は、関子のためにも、と決心をする。そして、父親と、継母に、自分はこの家の財産は受け取れない、異母弟妹にやってくれ、と言う。彼は新しくやり直す気だった。そしてその心にうたれた父親は、伊豆の山と土地、関子には、彼女の実母の残した郵船会社の株を持っていってくれ、と頼む。


 そしてその変わろうとする夫に、千代子は感激し、再び愛を誓う。

 そこへ通りかかった志賀に、良高は、麟一は引き取る旨を述べる。麟一のことを悪く言う志賀に、良高は自分の決意を述べる。そして千代子の言葉、その二つにさすがの志賀も参る。


 敏子は緑の世話をしながら、昨夜の緑の姿を見て、自分も何かせずにいられない、と告白し、二人は一緒にやっていこう、と誓い合う。


 麟一を皆して探すが、一向に見つからない。緑も、伊豆の人々も心配する。


 北海道の直子は、産後で、身体の調子を悪くしていた。生まれた子どもは元気である。だが、ついに、危篤状態となってしまった。

 緑が呼び寄せられる。宇都宮の家にも連絡が行く。そしてようやく隆吉の心が解ける。と、いうか、もともと頑固ものゆえも周囲が気を使っていただけで、隆吉は、お秀を連れて、北海道へとんでいく。

 緑は二等車をとったが、かつて三等車で向かった姉のことを思うと、ゆうゆうと乗っている気にもなれず、三等車へうつる。

 そして、彼らが来る間もなく、直子は亡くなった。隆吉も緑も、皆それまでのことを謝り合う。


 伊豆の良高のもとに、あの間宮から麟一の行方が届く。だが、それと同時に金の無心もしてきたが、良高はその十倍の金を出してもいい、と喜ぶ。

 そして緑のもとにも、敏子から麟一の無事を告げる電報が届く。緑はようやく、麟一の将来は麟一にまかせよう、という気になる。

 そして彼女は姉の遺骨を抱いて連絡船に乗るのだった。

******

このあらすじ自体はまだ二十代の頃にまとめたものを四十代のときに推敲したものです。
……もの凄くヒロインに「何じゃこりゃあああああ!」となった作品でした。
いやだってもの凄く都合よいこと言いやがるくせに人に支援ばかり求めて、ひたすらインテリであることでマウンティングしてるじゃないですかwww
あれ? 何かどっかで。





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最終更新日  2018.03.10 12:36:42
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