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2023.10.11
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「お前は偽物の聖女だヘリオーネ! よって私はお前との婚約を破棄し、真の聖女であるこのマルレーネと結婚する!」

 横には私と同じ服を着た、若い少女。何やらぶるぶる震えているようだが。

「はあ。左様でございますか」
「何だその言い草は! まあいい、とっととこの女を国外に追放しろ!」
「国外、でございますか」
「何度も言わすな! 国外と言ったら国外だ!」
「判りました。それではごきげんよう」

 私はさくさくと衛兵に連行され馬車に押し込まれ、国境の森で突き飛ばされた。
 やれやれ、と今さらの様に思う。
 そもそも王も、こんな四十過ぎた女をひっ捕まえて、唐突に聖女だから結婚しろだ何だと言って面倒だったこと。歳は王も五十がところだから、まあ合ってはいたけど。
 そうなると可哀想なのはあの娘だ。まだ十代の前半だろう。
 でもまあいい。国境の森は元々私が住んでいた場所だし、何かあった時のために、聖女仕様の服には何かと生きるための最低限の道具や、路銀も仕込んである。

「ああ、あとこれをして置かなくちゃね。新しい聖女様のために」

 私は国全体にかけていた加護を解いた。
 その後どうなろうが知ったことじゃない。
 まあこの性格は決して聖女ではないのだけど。





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最終更新日  2023.10.11 23:01:00
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