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去年の夏頃に買って読まないままにいた『世紀のラブレター』という本。 政治家・軍人・芸能人・作家ほか歴史上の人物も含めた著名人達がしたためた恋文を記載し、それに対する梯久美子さんの考察が記述されたものなのですが、読んでいると本当に心を打たれます。 (私が冬休みに村上春樹さんの『海辺のカフカ』を読み直したばかりなので、余計そう思うのかも。『海辺のカフカ』は大切な人達が次々に失われていく物語なので。) ラブレターと言っても「愛を誓い将来を約すためではなく、今生の別れを告げるために書かれる恋文もある」と説明されるとおり、特に戦時のラブレターには人間の尊厳のようなものを読み取ることができたりして、それが感銘を与えるのかもしれません。 例えば、戦艦大和に特攻命令が下った日、伊藤整一中将は愛する人に遺書を書きます。 「後事を託して何ら憂いなし」 ともに暮らした歳月が幸福であったがゆえに、今未練なく死に場所へ向かうことができる ―――― こういう事を言えるような生き様。平時物質的に満たされた現代日本において、同じようなことを果たして言えるかどうか。 向田邦子が書いたラブレターもあります。 彼女が生涯でただひとり愛した男性は、妻子と別居中だった13歳年上のカメラマンだったんですね。 そのやりとりの手紙はおもに他愛のない献立の話なのですが、好きだと書かなくても愛してると書かなくても、それは楽しげで恋文だと一目でわかるものです。 しかしそういう交際のさなかに突然彼が自殺。 向田邦子は飛行機事故で亡くなるまで、一生涯独身を通しました。 ラブレターという切り口ですけれど、生き方や人との関わり方のようなものをそこから感じ取るべきルポタージュであるような気がします。 楽天 中村晃一 ←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年01月08日 01時16分34秒
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