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カテゴリ:株式市場、会社動向など
昨年12月に発生した、ジェイコム株の大量誤発注に絡んで、みずほ証券は、全損失額:407億円のうち、404億円を東証に損害賠償を求めているとのことである。これに対して、東証は、全面的に争う構えで、みずほ証券は9月15日までに賠償に応じなければ、訴訟に踏み切ると通告していることが明らかにされている。東証は賠償には応じない方針で、大量誤発注をめぐる損失負担問題は、裁判所の判断に委ねられることが確実となった。
みずほ証券のいう全損失額:407億円のうち、賠償額が何故404億円なのか? みずほ証券の試算では「ミスに気づいて、直ぐに取り消し操作を行ったが、これが出来ていれば損失額は3億円で済んでいた」というのだ。それ故、407億円-3億円=404億円 という賠償額になるという。一見、まともそうな話ではあるが、私から見れば、言葉は悪いが「目くそ、鼻くそ」的な内容の次元で、みずほ証券の経営者も、東証の経営者も、まるで、システムを判っていない、或いは、知らない素振りをして、いかにも、アメリカナイズした経営をしてます風で「私達、日本人辞めました」と言っているようにしか思えない(言いすぎなのは分かっていますが、時間をかけても話し合いで合意点を見出すやり方が、日本的良さと思っていますので、トゲのある表現になってしまいました)。 そもそも、みずほ証券の大量誤発注であるが、61万円で1株売却のところを、1円で61万株売却の誤発注が出ること自体、あってはならないことで、対象のジェイコム株が如何に新株であったからといっても、1円の株など存在するはずもなく、何故、易々とみずほ証券のシステムが受け入れたのかが説明できていない。オペレータが「警告メッセージ」を無視して、[送信]を押したことが原因と言われているが、そんな言い訳で、世の中のシステム設計者が納得するはずがないことは明らかです。明らかにシステム仕様の不備・不良であって、それを棚に上げて、東証のシステムがしっかりしていれば、3億円で済んだというのは、詭弁としか言いようがありません。 同じことは、東証側のシステムにも言えることで、1円で61万株売却の発注を受け入れるシステムが世の中にあっていいはずがありません。早い話、どちらのシステムも「システム仕様のレビュー」と「テストの充分性」に問題(十分に確認しないままに、また、不十分であることを分かっていて、上位管理者の意向のままに、システムリリースに踏み切ってしまったこと)があることは、明白です。 大会社の経営層の人達の判断・決断が、如何に見通しのないままに下されているかを、白日の下にさらした代表例のような事件(本来、システム事故事例の類ですが、ここまでくれば、もはや、事件というほかありません)で、これを契機に、証券システムだけでなく、生保システムや(クレジット)カードシステムについても、システム確認が必須です(危機感のある組織では、既に実施、または確認済みのところも多い)。 結論は「裁判を待つ」ということにした訳ですが、双方、株主の利益を前面に押し出しての議論ですから、なかなか結論は読み難いですが、本来は、経営層同士で話し合うべきところ、その努力を放り出して、決着を裁判所に委ねたという行為は、結論がどう出るにせよ、もはや、経営層失格ではないでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月24日 14時02分42秒
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