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満天記念日(建築の話しましょう。「建築目安箱」)

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2006/01/06
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カテゴリ:建築目安箱
住いをプランするときに不慣れな人が一番悩むのが階段です。
平面上の長さと断面の割付が理解できていないと階段にはならなくなります。
図面屋さんでも一番最初にぶつかる壁が階段の割付です。
設計が出来る目安として、階段図面が描けることが最低条件です。

大工さんでも、和室周りの仕事と階段は熟練工が行います。
現場に行って、階段を作っている大工さんがいたらその人は一人前以上の腕前か、そのメンバーの中の兄貴分と思って下さい。

本当は弟弟子のほうが腕がいいのですが、兄弟子がいると、弟分は兄弟子に階段造作を譲る。。。というような場面を何度も現場でみてきました。大工さんに直接その件について聞いても、はぐらかされるので、真意はわかりませんが、多分そうです。

おっと。。。その話をするつもりじゃないんだよォ。。。

以前、階段の段数のことで聞かれたことがあり、その件を具体的にお話していなかったので、ここでご説明します。

我が家は何段階段なの?

図をご覧下さい。

階段4

平面上は3等分に割り付けてあるので、断面も3段に割り付けると(1のような具合になってしまいます。4段目は上がりきりの床となるので、2階建ての場合4段目は2階のフロアーという考えをします。
ですから、平面で3等分でも「4段割」ということになるわけです。

この考えがわかっていないと、階段図面はかけません。

駆け出しの設計屋さんはこれで頭を抱えます。
実際の現場ではこんな単純な階段は滅多にありませんし、できれば、直の階段(鉄砲階段といいます・・ズドンとまっすぐだから・・かな)は避けて設計します。転げ落ちるとどこまでも落ちていってしまうからです。昨年ニュースでエスカレーターを転げ落ちていくおじいさんのシーンが放送されたのをご覧になりましたか?韓国かどこかのニュースだったと思います。

エスカレーターでもあれだけ長いと恐怖です。スキー場ではあの勾配では初心者は絶対に滑れません。本来なら中間に踊り場を設ければ安全なのでしょうが、設置基準がない。メーカーさんも長さを競っているようですが、安全対策を競ってほしいものです。

話は少しそれますが、建築のあらゆる場所に対する設置基準というのは、事故がおきてから出ないと作られないのが現状です。有名なビルの回転ドアも、死亡事故がおきて初めて安全対策を講じる始末。事故は予期せぬときにおきるから事故なのです。今まで事故が無かったから「安全」なのではありません。

最近も買物に行ったビルのエスカレーターのところで、手摺の下にもぐりこんで遊んでいるお子さんがいました。両親は少し離れた所で熱心に品定めをしていて、子供の行動を見ていません。つい余計なお世話だったのですが「危ないよ」と子供に注意をしたところ、見知らぬおじさんに怒られたと思ったのでしょう、親御さんの所に戻っていきました。

私たちの子供の頃はエスカレーターなんて無かった!
エレベーターには綺麗なお姉さんが、こっちに背中向けて「ご利用階数を・・」とか言うので「横に行ってください」と言ってみたのですが、後ろ向きの肩がピクっと震えただけで、無視されたのを今でも覚えているくらいでして、そんなのが楽しみでエレベーターに乗っていたのですが、いつの間にか、動く階段できてしまった。

階段が動くのだから、乗りたくてしょうがない。でも乗るまでが怖い。
歩数が合わないのである。だから一度ステップする。
そういう癖があるので、混んでいるときは必ず後ろから押される。。。

身に覚えがないか!おじさん!おばちゃんも!

そういう不慣れがあるうちは、滅多に事故はおきません。
みんな慎重だからです。
でも今の若いお父さん、お母さんたちは、生まれたときから、そういうものを危険と感じないで育ってきました。使い手が危険と感じなければどうすればいいのでしょう?そうです。造り手がそれをカバーしなければならないのです。

話はずいぶんそれてしまいましたが、階段の設置も同じことです。

住宅の階段の基準なんて、建築基準法の最低基準通りに作ったら、皆さん驚きますよ。梯子みたいなもんです。あの基準の階段で箪笥を上げ下げすることは不可能です。幸いなことに建築屋さんはそこまでは「オ馬鹿サン」ではなかったので、自主的に階段の踏み面(ふみづら)や蹴上(けあげ)の寸法を安全に調整してきました。

でも一般的な住宅の階段の割付は図の通りです。
階段2

一段の踏み面寸法が225ミリ蹴上が190ミリ程度。

これは尺貫法の割付が基本になっています。
木造住宅の平面のグリッド基準は910ミリ(3尺)です。
3尺の平面の長さを4等分すると3÷4=0.75 これを7寸5分と表現します。225ミリですね。
以前は蹴上もこの7寸5分で割り付けていたので45度勾配の階段が普通でした。でも少しはゆったりと・・・ということで、一段あたりの蹴上が低くなって現在の寸法になってきました。

でも、踏み面寸法が7寸5分・225ミリでは小さい?
いまどきのお子様たちの足のサイズはどれほどあると思いますか?
この階段のサイズですと、上りはいいとして下りでは、足は段板に半分ほどしか引っかかりません。靴下をはいて勢いよく降りてきたら、こけます。踏み外します普通はね。

でも、住宅の階段で滑って落ちて大怪我や死亡事故などというニュースが世間を騒がさないので、住宅階段の基準は改善されません。

様々な階段の形状
階段3

このように最近は住宅の階段も工場加工品の使用が普通となり、綺麗で安全対策が施された商品が数多く出回っています。
間取りや面積の制限で、あとからくっつけられてしまったような階段はちょっと寂しいですね。2階建ての家がほとんどの現在ですから、プランの段階でもっと階段スペースを大事に考えていただきたいと思います。


資料は大建工業株式会社さんの階段図集を使わせていただきました。



ここをプチっとしていただくと私は勇気100倍!






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Last updated  2006/01/06 11:18:33 AM
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