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ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

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2010.10.06
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CO-OPプリのその後。

ブレーンとして選出された5名の有能なママさん達のおかげで、開園の準備は着々と進んだのだが、最後の最後まで肝心のロケーションが決まらずに計画は中断。
当てにしていた教会の地下が、立ち入り検査の段階でプリスクールを運営するには鉛など次々と検査項目に引っかかり、それを改善するには莫大な額のお金が必要となってしまうことが
分かったのである。他にも候補がいくつか見つかったが、どれも一長一短で、その中でもかなり有力な場所で話を進めようかとつい最近、決まったところ。しかし、それも実際に開園にこぎつけるまでは3,4ヶ月はかかる見込みと言ったところである。

しかし、その準備に必要な資金をとりあえず集めようやということでオークションとコンサートからなるイベントをやろうという話が決まったことを聞いたのが約1ヶ月前。酷暑の日本ですっかり日本語モード+夏休みモードになっていた私は、発起人から英語で送られてきたそのメールを読んでも、物理的にも心理的にもはるかかなたの出来事に思えてならず、その後、アメリカに戻っても、時差ぼけや新学期に伴う子供たちのスケジュールに馴れるのに必死で、この準備に関われるようになるまでに時間がかかってしまった。

アメリカ人は、この資金集め(fundraising)のイベントというのをよくやる。
ただ単に街頭に立って募金を呼びかけるのではなく、募金する人も何らかの楽しいメリットがあるというのが一般的で、このイベントも、オークションでは欲しいものが手に入り、かつ、払ったお金がプリスクールの開園の資金になるという一石二鳥のシステム。
このシステムに最初に触れたのは、まだ日本にいる頃だったが、ユニセフのグリーティングカードだった。それまで募金活動といえば、赤い羽根や24時間テレビで基本的にはお金を箱に入れるだけのイメージしかなかった私にはかなり斬新なアイディアに思えた。

さて、準備の中心となったのは、オークションのアイテムを探し出してくることで、これが私にとっては実は何よりも苦痛であった(笑)。オークションの委員長に名乗り出たのは、このCO-OPプリを開園しようと言い出した発起人で、彼女はプロの歌い手、根っからのパフォーマー。
企業で言うと、まさに営業や広報担当。実際、セーリングのレッスンやレッドソックスのチケットなど多額の落札が期待されるアイテムをゲットしてきたのは彼女で、彼女は自分が出来るんだからあなたも出来るでしょ、みたいなノリで無能な営業部員の私にもノルマを課すのである。
しかし、企業で言うと、何と言っても庶務担当の私。学生時代に所属していたモダンダンス部の公演の準備の時だって、私はもっぱら皆の練習のスケジュール管理。学生時代の友達によると、パソコンもまだ普及していなかったその当時、私は手書きの時間割表みたいなのを作って、皆のスケジュールを書き込み、コピーして配っていたそうである。それを指摘されても全然記憶にないのだが、いかにもアタシがやりそうなこった(笑)。だから、公演のパンフレットに載せる広告取りなんて一番苦手な仕事で、ずっと逃げ回っていたほどである。そんな私がオークションのアイテムをゲットなんて、もう、それは歌も踊りも素人の人間が、いきなり安室奈美恵の代役として東京ドームで一万人の観衆を前にしてコンサートやるみたいな無謀さに等しい。

それでも「ガイジンは現地人の3倍がんばって初めて認められる」みたいな考え方(笑)をついついしてしまう私、これは雇用機会均等法が施行されて数年目、男女平等とは表向きのことで、すぐに「やっぱり女はダメだ」と陰でささやかれるような時代に就職した私の、「オンナはオトコの3倍働いて初めて同じスタート地点に立てる」という誠に不健全に染み付いてしまった習性からなるものなのだが、ここで引き下がるわけには行かないと、近くの行きつけのダイナーとコロンビア料理屋に冷や汗脂汗をたらたら流しながら?泣きついた。すると、両オーナーとも快くギフト券の進呈に応じてくれ、店に宣伝ポスターも貼ってくれて、おかげさまで私の顔も立った(笑)。ああ、ありがとう、ドンナにホアン。あなたたちに足を向けては寝られませぬ。

しかしイベント開催ともなると、細かい手配は必要で、アルコール販売の許可を警察や市役所に届出に行ったり、おつり用の現金を用意したり、子供がいるとそんなことも本当に大変なのだが、この準備に関わっているどの親も、仕事や子育ての合い間に、文句も言わずに良くやってくれて頭が下がる。そして、以前にも書いたが、建築家、グラフィックデザイナー、NPO代表など、自分の仕事から得た知識と経験を惜しみなく提供するその精神にも脱帽。私なぞ足元にも及ばないが、せめてもと、当日テーブルに飾る花のアレンジと、スクラップブッキングで余った紙を有効利用したサンキューカードのデザインを引き受けることにした。

花は時々手伝いに行っている昔からの知り合いの店に頼んで仕入れてもらい、前日の日本語学校の後に取りに行ってアレンジした。
ついでに当日はチーズ・ワイン・フルーツ・乾き物等をお皿に盛る係でもあったので、準備が出来た時点でパチリ。

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秋色の背が高いアレンジで下に食べ物を並べるという、ほぼイメージどおりに仕上がって自己満足(笑)。

チーズを切って盛る作業は思いのほか時間がかかり、刻々と迫る開始時間に気持ちは焦りに焦っていたのだが、そばにいた当日助っ人当番の初対面のママさんが朗らかにてきぱきと手伝ってくれてどんなに救われたことか。アメリカ人、言われたことしかやらないとか言うけど、いや、やる時は驚くほどの集中力と行動力を発揮してやり遂げるんだよな。

当日のイベントは恐らくメンバー達の知り合いがほとんどであろうけど、思ったよりたくさんの人が来て、オークションの入札も盛り上がった。オークションのアイテムは、アート画やブランド物のバッグなどの物品のほかに、「子供の誕生日パーティーにフェイス・ペインティングと歌をやってあげる権」とか「プロカメラマンがあなたの家族写真を撮ります」とか、「あなたの家を修理してあげる権」などのサービスもあり、そういえば昔、とんねるずがハンマープライスっていうオークション番組やってたけど、あれを彷彿とさせる内容であった。
我が家はその家族写真と誕生日パーティーのサービスが欲しかったのだが、それには敢え無く負けてしまい、結局、夫が気に入った子供向けのキルトの毛布を勝ち取った。

オークションにはサイレント・オークションとライブ・オークションというのがあり、サイレントの方は、物品が並んでいるのを見て回りながら欲しいものの表に価格を記入していくという方法で、ライブの方は、前にハンマーを持った人がリードしながら落札していくという、良く見聞きする方法である。今回はセーリングの授業権も含み、何点かがライブの対象となり、それにはいったいどこのどういうツテで連れて来たのか分からないのだが、金髪のエルビス・プレスリーみたいなカツラをかぶったおもろいオバちゃんがプロの技で大いに盛り上げてくれた。いやあ、きっと彼女も知り合いのよしみでタダでやってくれたんだろうけど、この人脈をとことん使い尽くすこの精神もあっぱれ。

オークションに続くコンサートも、例の発起人のダンナさまがバンドでサックスを吹いている人なので、そのバンドが(これもまた無料で)コンサートをやってくれて、子供たちはノリノリで舞台の前で踊りまくり、私達コアメンバーは、その音楽をBGMにオークションの結果をマックに入力するという作業に追われた。そういえば、「このバンドがあなたのためにライブ演奏してくれる権」っていうのもあったけど、誰が手に入れたのかな。

まだ集まった資金の額は確定していないが数千ドルに及ぶ見込みで、今後の諸手続や家賃の前払いなど当座の資金としては十分な額。

でも、何よりも、別に有名人のゲストが来たわけでもなく、ただの素人の集まりである私達が催したこの小さなイベントに対し、私達の目的に賛同して、このイベントの会場を提供してくれた地元の非営利団体、このイベントに足を運んでくれた人達、オークションアイテムの提供をしてくれた人達、オークションアイテムは買わなかったけれど寄付金を寄せてくれた人達、ボストンは大きな町ではあるけれど、地元のコミュニティの頑張りをサポートしようという心意気は非常に強く、こうした皆の温かい気持ちに触れることができたのは本当にありがたく、嬉しかった。

また、このイベントを通じて、コアメンバーのママさん達ともさらに打ち解けることが出来たような気がする。いつもいつも変わらぬ笑顔が単なる社交辞令なのか、それとも本当に心からのものなのか掴み切れずにいた何人かのママさん達が、オークションが始まって会場がごった返して来た時に「やったね!」と私に向かって見せてくれた笑顔はホンモノだったと思う。今後、私がこの国に生まれ育っていないことで、やっぱりこの輪の中には入っていけないとがっかりすることが出てくるかもしれない。でも、それでもいい。なかなか崩すことができない壁があるとすれば、それを乗り越えるのは人間としての誠実さぐらいしかないけれど、それだけでも相手に通じればいいではないか。自分の出来る範囲内でしかないけれど、イベントに協力し、誰かが必要としているようであったら手助けをする、そういう自分の基本的な姿勢が相手に通じればそれで良いではないか。時々、その場の空気が読めてないばかりにとんでもないことをやらかしているのではないかとビクビクすることもあるのだが、でも、それを十分カバーするぐらいのことをやればいいではないか。

夜のこのイベントが終わった後の会場はがらんとしていたが、なんとも言えぬ充実感がその部屋中を満たしているのを感じた。

私達が投票で決めたプリスクールの名前はこの土地柄を反映して海にちなんだものなのだが、わくわくする大航海へ新たな一歩を踏み出したようである。






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最終更新日  2010.10.07 03:19:09
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