園芸侍の「なんでも植物栽培記」

2015/07/11(土)22:21

L. tenebrosa 'Walton Grange' FCC/RHS 開花

蘭、洋蘭(397)

 カトレア近縁属の、Laelia tenebrosa 'Walton Grange' FCC/RHS(レリア テネブロサ ’ウォルトン・グランジ’)が開花した。当ブログ初登場である。昨年の暮れに、とある洋蘭園でこの個体を見つけ、株分けの予約をしてこの春にめでたく入手できたもの。そして早くも開花を迎えた。 通常のテネブロサは、ペタルとセパルが茶褐色になるが、この個体はその色素が抜けて黄色くなるという、非常に珍しい個体だ。私が本格的に洋蘭栽培を始めた高校1年生の頃には、早くも書籍でこの個体の存在を知っていた。さらに、当時行きつけだった洋蘭業者に、この個体の見事な大株が鎮座しているのを発見。高校生のお小遣いではとても手が届かず、いつも羨望の眼差しで見ていたものだ。そして私が高校3年生の頃、その業者で小さな自家交配苗が売られていたので、私は迷わず購入。しかし、当時はまだ栽培技術がなかったため、結局はその小さな実生苗を大きく育てることができず、自然消滅してしまった。  その後、いつかはオリジナル株を入手したいと思いつつも、増殖率が悪いのか、なかなか洋蘭業界に流通しない。とある日、昨年末にある老舗洋蘭園でこの個体が開花している姿を見て、購買意欲が再び湧いてきた。お値段は少々高かったが、このチャンスを逃すと二度と手に入らないだろうと思い、その場で購入を決めた。その業者の社長さんの話では、この個体はかの大山崎山荘がイギリスから直接輸入したとのこと。この個体が日本に入った経緯まで聞けて大きな収穫であった。  ちなみに、上に書いた高校時代に行きつけだった業者に勤めていた人に後で聞いたのだが、その業者では過去にこの個体のメリクロンが試みられたとか。しかし、増殖率が非常に悪く、株分けで増やすのとあまり変わらなかったらしい。この個体がなかなか流通しない理由が分かった気がする。来年はさらに豪華な花を期待したい。

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