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　連日、甲子園球場（兵庫県西宮市）で行われている第93回全国高校野球選手権大会に出場している横浜高は、12日の大会第７日、第３試合で高崎健康福祉大高崎高（群馬）との初戦に挑む。

　春夏通算５度の全国優勝を誇る渡辺元智監督（66）にとって、通算24度目になる甲子園。さぞベテランの余裕が漂うのかと思いきや、「最近少し、高校野球ってこうなんだっていうのが見えてきた」。投打に際立った選手がいないチームで甲子園にたどり着いたこの夏は、歴代４位の甲子園通算47勝を挙げる名将にとっても特別という。“新たな境地”で迎える初戦を前に、「指揮官がもし負けたらなんて考えたら、勝負にならない」と、若々しい闘志がみなぎる。

　今年の横浜高投手陣は２年生が中心で、打っても横浜ベイスターズ入りした筒香嘉智選手（２０１０年卒）のような主砲は不在。神奈川大会５回戦で選抜大会覇者の東海大相模高を３?１で破り、その後の３試合はいずれも１点差。局面の読み、選手への助言、継投のタイミング…。神懸かり的な采配で頂点を極めた。渡辺監督は「（神奈川大会では）その試合、その場面が見えた。冷静な采配が振るえたのかな。（小倉清一郎）コーチがデータをくれますから。あとは監督の仕事は決断」と振り返る。

　今大会では全国の49代表校を率いる監督のうち、３番目の高齢指揮官となる。一時は体調を崩したこともある渡辺監督だが、「指揮官がノックできなきゃしようがない」と、５年前から健康管理のためにプール通いを続けてきた。大阪入りしてからも宿舎近くのプールに通い、練習会場では、着くなり選手同様に監督もウオーキングのアップを始める。炎天下の中で約30分間、ノックバットを片手にげきを飛ばす姿は、とても古希が間近とは思えない気迫だ。

　５季ぶりに出場した今春の選抜大会は初戦敗退だった。最後に夏の深紅の優勝旗を手にしたのは、松坂大輔投手（米大リーグ・レッドソックス）らを擁して春夏連覇を果たした１９９８年のことだ。あの最強チームから13年。より円熟味を増した名将は、「采配ミスがないように（試合の前に晩は）熟睡して、しっかりと視野を広げて」と、勝負師の目を光らせた。



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