低負担・自己責任社会(アメリカ)の幻想
●このブログからもずいぶん足が遠のいてしまった。この糞暑い夏場にも関わらず、下手なテニスの練習に毎日のように精を出して、顔も手もすっかり褐色になってしまった。60歳を超えてこんな生活ができているということは家内に言わせると「幸福なこと」に違いない。●これまで、当面目指すべき社会システムとしての北欧の国々(高負担・高福祉社会)について触れてきたが、ここらでこの対極としてのアメリカ(低負担・自己責任社会)の実態を覗いてみるのも一興と思って、下記の本を読んでみた。●書名は『THE ROARING 90's』で日本語の書名は『狂騒の90年代』になる筈であるものが、『人間が幸福になる経済とは何か』となってしまうのは相変わらずといったところだ。『人間が幸福になる経済とは何か』ジョセフ・E・スティグリッツ●著者のジョセフ・E・スティグリッツはクリントン政権時代の経済問題のブレーンであり、ノーベル賞も受賞している人物である。●著書の下手な内容紹介よりも、Wikipediaでの著者の紹介の方がよほど参考になるのでURLを記しておくことにした。◆ジョセフ・E・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz, 1943年2月9日 - )はアメリカ人の経済学者で、2001年にノーベル経済学賞を受賞した。現在における最も活動的且つ影響力のある経済学者の一人である。●米国の保守主義(市場経済主義、規制緩和主義、グローバル資本主義、小さな政府主義)が90年代に如何に、米国民と世界を欺いてきたかを克明に描いている。著者は下記の8つが神話でしかないこと説明している。・赤字削減の神話・戦争が景気を拡大させるという神話・英雄神話・見えざる神の手の神話・金融の神話・大きい政府は悪いという神話・グローバル資本主義の神話・アメリカ型資本主義が成功したという神話●イデオロギー的な左翼政党等による新自由主義の批判ではなく、米国の政権中枢、世界銀行の中枢にいた人物による米国の政治・経済に対する告発ともとれる著作であることが意義深い。