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カテゴリ:母と妹
月のない夜だった 父が他界して数年後、突然、母の四国八十八か所お遍路さん巡りが始まった。 バスツアーで参加し、時には泊まりになることもあった。 母なりに、父を亡くして何か考えるところがあったのであろう。 あれから約10年。 この度、とうとう満願したそうである。 まぁ、よかったと思う。 ただ、ツアーに参加する度に御札や何やらそういう物をもらってきて、 母はその度に壁やらに飾るようになった。 今回の満願のいただき物は、子どものおままごとのような「紙幣」だった。 聖徳太子と「三億円」と書かれたA4サイズぐらいの、ただの紙。 母は、それをリビングの壁に、しかも逆さまに貼った。 聖徳太子が壁でひっくり返っている。 おそらく、「そこに」逆さまに貼れと言われたに違いない。 誰かが家へ訪ねて来れば(誰も来ないが)、あ、ついに頭がおかしくなったのだなと、 誰もが思うであろう。 もう、一度貼れば、母が死ぬまでは、もしくは、自分で気付くまでは、そこに在り続ける。 まず、自ら気付くということは皆無に近いと思われるので、母が死ぬまでそのままだろう。 私は、判断力が鈍っていく母を見ていると、 歳を取るとはこういうことなのだなと、思わずにはいられない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014/02/11 08:02:48 PM
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