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2018.10.08
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カテゴリ:極私的映画史


 ポール・ヴァーホーヴェンといえば「ロボコップ」や「氷の微笑」のヒットで知られるが、一方で「ショーガール」でラジー賞を受賞するなど、いまいちハリウッドに溶け込めなかった監督である。ハリウッドを離れ、母国オランダで撮った「ブラックブック」などを見ると、やhりハリウッドの水が合わなかったんだなと納得させられる。変態監督とも呼ばれる彼の体質が、最終的には「良い子であること」を強いるハリウッドと相いれないのは、当然といえば当然のことである。

 そんな彼のハリウッドにおける最高傑作は「スターシップ・トゥルーパーズ」だと、個人的には思っている。全体主義を風刺したハインラインのSF小説を、見事なまでに残酷アクションとして描いた手腕は、ヴァーホーヴェンの真骨頂ではないかと思っている。全米公開時には「右翼的」という批評もあったようだが、それはいかにもアメリカ的な感想だと思う。ヴァーホーヴェンは、そんなに単純な映画を撮るわけがない。

 ハリウッドで成功する良い子の監督であれば、ハインラインの風刺をさらりと受け流すのだろうが、オランダ生まれのヴァーホーヴェンはそこまで良い子ではない。昆虫型エイリアンを叩き殺す地球人と、地球人に容赦なく襲い来る昆虫型エイリアンの残虐さを、まったく同じレベルで描く。そのことにより観客は劇中の戦う地球人と一体化していく。「右翼的」という批評は、まさにその一体感を指しているのだと思う。

 しかし、ヴァーホーヴェンの狙いは、その一体化にある。戦う地球人と容易に一体化し、昆虫型エイリアンの殺戮に熱狂してしまう観客に「それこそが全体主義の恐怖ではないか」と問いかける。おそらく、ほとんどの観客がエイリアンをぶち殺す地球人に声援を送るであろうことを意図して、ヴァーホーヴェンは映画を作っている。その中の何割が、ヴァーホーヴェンが意図した「全体主義の恐怖」に気づいたことだろう。表面的に全体主義を描くのではなく、感覚的に全体主義を体感させる。それがヴァーホーヴェンの狙いなのだろう。

 もちろん、そんなことをまったく感じさせないくらい(変態的に)面白いのも事実。昨今のハリウッド映画の潮流を考えると、こんなに残酷で、こんなに面白い作品は、もうハリウッドでは作ることはできないだろう。そう思うと、非常に残念である。


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Last updated  2018.10.08 19:46:12
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