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2018.12.22
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カテゴリ:極私的映画史


 廣木隆一監督の存在を初めて意識したのは、1986年に見た「やりんこチエ いちじく診察台」だった。3本立てだったロマンポルノの3本目の作品(ピンク系他社の買い取り作品)で、タイトルからわかる通りの人気まんがのパロディ。しかも、主演は堀ちえみのそっくりさんで売り出したAV女優・東千絵とくれば、見る側も見下すというか、油断してしまうような位置づけだった。ところが、このパロディ・ポルノがすこぶるよくできた青春映画で、まさに「胸キュン」ものだったのだ。

 青春映画はロマンポルノ以前から日活のお得意なので、買い取り作品がそのテイストを意識していてもおかしくはない。しかし、「やりんこチエ」は、そういう意識して日活に寄せた作品ではなかった。そこには確実に廣木隆一という監督の個性が見受けられた。その個性とは何か。それは、登場人物の距離感である。例えば、惹かれあう男女が気持ちを告白する時、廣木隆一はスクリーンの左端と右端に2人を配置する。2人の間に存在する空間=距離感が、見る者にそれぞれの思いの強さを印象づける。廣木隆一の絶妙な距離感が、セリフだけでは伝わらない思いを表してしまうのだ。

 ピンク&ロマンポルノを卒業した廣木隆一は、1990年代の前半に「魔王街」や「800 TWO LAP RUNNERS」などで話題を呼んだが、その評価を確立させたのは、2003年の「ヴァイブレータ」だろう。トラックの中という閉じられた空間の中でくり広げられる女と男のふれあいを、リアルに生々しく描く。知らない者同士が心を通わせていく姿を、廣木隆一ならではの距離感で描いていく。寺島しのぶと大森南朋の演技も、廣木隆一が意図した女と男の距離感を見事に体現している。

 最近では女子高生向けの胸キュン青春映画への起用も多い廣木隆一だが、ピンク時代からの個性ともいえる絶妙な距離感を思えば、それも当然と思われる。ちなみに、初めての廣木隆一作品は、大杉漣主演の「痴漢とスカート」だった。タイトルだけ聞くといやらしそうだが、その内容は中年郵便配達の純愛もの。廣木隆一といえども、さすがにおっさんの純愛とエロには胸キュンというわけにはいかず、なんだかモヤモヤと不完全燃焼だった記憶だけが残っている。


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Last updated  2018.12.22 14:13:39
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