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2018.12.31
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カテゴリ:極私的映画史


 ハリウッドにおける昨今の活躍から、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの全米デビューは比較的最近のことと思っていた。しかし、イニャリトゥのハリウッド進出は、長編第2作の「21グラム」。製作は2003年で、日本公開は2004年。母国メキシコで撮った「アモーレス・ペロス」に至っては1999年と、意外に古い。僕の中では、オゾンやアメナーバルよりずっと後に知った監督だと思っていたのだが、実際はほぼ同時期に注目した監督だった。

 「アモーレス・ペロス」はスクリーンで見てはいない。しかし、「21グラム」の鑑賞メモを読むと「『アモーレス・ペロス』でも気になった監督」と書いているので、TVかDVDで見ていたようだ。接点がないかと思われる登場人物たちのドラマがラストでひとつにつながっていく展開は、今ではありきたりになってしまったが、当時は新鮮で第3作の「バベル」に至るまで、イニャリトゥの個性ともいえる面白さがあった。

 しかしながら、オゾンやアメナーバルのように手放しで好きになったというわけではない。「アモーレス・ペロス」も「21グラム」も、とにかく後味が悪い。話はすっきりと結末を迎えるのだが、なんともイヤな感じが残るのだ。その理由は何か。それはおそらく、中南米、特にメキシコに特有の生死が隣り合わせになっている世界観がベースにあるからだろう。どこか暗い死の影が漂う感じ。何かのきっかけで爆発しそうな闇のエネルギーが、マグマのように作品の底流に流れている。そんな感じがイニャリトゥにはあった。

 が、「アモーレス・ペロス」「21グラム」「バベル」と、イニャリトゥは確実に作品のスケールを拡大していく。メキシコからアメリカへ、アメリカから世界へ、そして現在のハリウッドにおける成功は、まるでアメリカ中心のグローバリゼーションをメキシコ人のイニャリトゥが逆手に取ったようにも思える。それまで3年に1本のペースだったイニャリトゥが、立て続けに「バードマン(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」「レヴェナント:蘇りし者」を撮り、アカデミー賞をかっさらっていく。

 と同時に、最近の2本では、初期の作品にあったイヤな感じはあまり感じられなくなっている。そして、より技巧的になり、アメリカでも受け入れられるスマートさが重視され、かつての中南米的な闇も暑苦しさも薄まっている。それが、映画作家としての成長なのだろうが、より民族的な色彩を好む僕にとっては、なんとなく面白くない気がしてしまうのだ。


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Last updated  2018.12.31 10:42:43
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