復讐の連鎖・・・このような話を知っているだろうか、終わりのない物語という絵本です。 あるところに正義を愛する立派なお猿さんがいました、 ある日お猿さんは誰かが誰かを殺しているところを見つけました、 殺しは立派な犯罪です、 悪者の象は言います、 「待ってくれ、これには理由があるんだ」 なんと図々しい悪い象でしょう、殺して言い訳をするなんて、 殺してもいい理由なんて何もありません、 もちろん正義のお猿さんは悪者には騙されません、 お猿さんは勇敢に戦ってついに悪い象を退治しました。 あるところに同じく正義を愛する立派な猫さんがいました、 ある日猫さんは誰かが誰かを殺しているところを見つけました、 殺しは立派な犯罪です、 悪者の猿は言います、 「待ってくれ、これはこの象が悪いんだ」 なんて図々しい悪い猿でしょう、象さんを殺しておいて相手の方が悪いなんて、 悪いのは象さんを殺した猿の方です、 もちろん正義の猫さんは悪者には騙されません、 猫さんは勇敢に戦ってついに悪い猿を退治しました。 あるところに正義を愛する立派な象さんがいました、 ある日象さんは誰かが誰かを殺しているところを見つけました、 殺しは立派な犯罪です、 悪者の猫は言います、 「待ってくれ、これはこの猿が悪いことをしたからなんだ」 なんて図々しい悪い猫でしょう、それが殺していい理由にはなりません、 悪いのはお猿さんを殺した猫の方です、 もちろん正義の象さんは悪者には騙されません、 象さんは勇敢に戦ってついに悪い猫を退治しました。 あるところに正義を愛する立派なお猿さんがいました、 お猿さんは友達を悪者に殺され以前よりもいっそう悪を憎むようになりました、 ある日お猿さんは誰かが誰かを殺しているところを見つけました、 殺しは立派な犯罪です、 悪者の象は言います、 「待ってくれ、悪者を退治しただけなんだ」 なんて図々しい悪い象でしょう、悪者は猫さんを殺した象の方です、 もちろん正義のお猿さんは悪者には騙されません、 お猿さんは勇敢に戦ってついに悪い象を退治しました。 あるところに正義を愛する立派な猫さんがいました、 猫さんはお父さんを悪者に殺されて以前よりもいっそう悪を憎むようになりました、 ある日猫さんは誰かが誰かを殺しているところを見つけました、 殺しは立派な犯罪です、 ・・・・ ・・・・ ・・・・ さてこの物語に終わりはあるでしょうか、 罪は許すことでしか償うことはできません、 復讐は復讐を呼び、憎しみの連鎖は果てしなく続いていきます、 女は子を産み、子はいずれ成長します、 復讐の連鎖の行きつく先は、女子供まで一人残らず殺しつくす修羅の世界に他なりません、 相手を許すことができなければ、殲滅以外に争いを止める手立てはありません、 誰かが残っている限り、果てしなく憎しみは引き継がれていくのだから。 友を殺されれば悲しい、親を殺されれば憎い、 けれど忘れてはなりません、 相手にも友がいて、親がいて、子がいることを、 憎しみの連鎖はどこかで絶たなければならない、 これ以上憎しみを拡げないために、 これ以上悲しみを増やさないために。 |