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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
今日はいきなり朝から事件が発生した。被害者はお父さんだ。殺されるとかの話ではないが、肉体的なダメージまであるかもしれない。屋外用の強力殺虫剤を部屋の中に噴霧されてしまった。家具や寝具、服だけでなく置いてある食料品や洗面用具関係もどうするか考えなくてはならない。さてどうしたものか。
今回の事件発生までの経緯は以下のようなものだ。まず昨日上司より最近暖かくなってきたので蚊が一気に多くなった。上司が住む第二寮の周りに殺虫剤を噴霧してもらった。もしお父さんが住む第一寮でも蚊の大量発生があるなら殺虫剤噴霧を依頼するがどうする?との問いかけがあった。 実際にお父さんの住んでいる第一寮の方でもかなり蚊が発生して部屋で蚊取り線香を焚いている日本人が多かったので、殺虫剤噴霧を依頼した。上司から総務を経由して庭師に連絡がいったようだ。そして今日、なぜか庭師が寮の周辺(屋外)ではなく、お父さんの部屋内に直接殺虫剤を噴霧してしまったとのことだ。 部屋の中は殺虫剤が充満してすごいにおいになっていた。すでに掃除が始まっていたが、部屋の入り口から扇風機で風を送り窓から外へ向かって排気していた。総務部の3名がモップで床を水ぶきしたり布団などを持ち出して洗濯に回していた。 ベトナムでは部屋の中に殺虫剤を撒くことがあるのか確認したが、そんなことはあり得ないとのこと。ではなぜそんな常識外の行為が実施されたのだろうか。答えは簡単である。日本人は部屋の中に殺虫剤を撒くとベトナム人が勘違いしたからだ。 仕事をしていても一般生活をしていても時々起こることだが、ベトナムと日本の文化の違い、習慣の違いというのは結構出てくる。最近はだいぶ減ってきたが、創業当時は結構いろいろと苦労した。 例えば風呂の習慣についてであるが、当時はベトナムで温水を使う習慣がなかった。浴槽に入るという考えもなく水のシャワー、場合によってはホースの水や蛇口から洗面器で水をとって体や髪を洗っていた。体が冷えてしまうためシャワーを浴びるのは暖かい日中というのが彼らの基本だった。お父さんたち日本人が夜寝る前にシャワーを浴びると知った多くのベトナム人社員から「風邪をひくから寝る前にシャワーを浴びてはいけない」とまじめに注意された。今ではベトナム人も給湯器が当たり前になり、温水で夜シャワーを浴びている。 飲み物もそうだ。お父さんはお酒を飲まないが冷えてないビールがおいしくないことぐらいはわかる。しかしながら以前のベトナムの常識は「冷たいものを飲むとおなかをこわす」だったので、冷蔵庫で冷やしたような冷たい飲み物を飲むことを嫌がる人が多かった。 この冷たいものを飲まない人は今でも一定数存在している。ハノイではあまりないが、お父さんのいる町では冷えた飲み物が無いという飲食店がまだまだたくさんある。仕方がないのでビールに氷を入れて飲んでいる。なれるとあまり気にならないらしい。 このような文化や習慣の違いが今回のような大きな間違いを起こす元凶になっている。特にお父さんの会社では勤続年数の多い社員がやらかしてしまう。自分たちの常識で「おかしい、あってはならない」ということも、日本人の指示だと思えばやってしまうのである。 ちなみにこのとき間に入る通訳がきちんと通訳できているかが大きな分かれ目となる。今回も通訳がお父さんが困っているから部屋の中に殺虫剤を噴霧するように伝えたのだと思う。ベトナム人は決してやらないが、日本人はやるのだろうと思い庭師は実行したと思われる。 もちろん追及しても通訳は絶対に部屋の中に撒くようには指示していないというのだろうが。 今回の事件はかなり極端だが、日本人もこのような間違いを犯すことは多々ある。通訳を信じて言われた通りベトナムの文化を踏襲したつもりが「違う、そんなことはしない、それが日本の常識なのか?」と笑われたり恥をかいたりする。 日本人も常識離れだと思って確認しても、通訳が「ベトナムの文化はそうだ」と言い切るのだ。日本人は基本的にベトナムではベトナム人の文化や習慣を尊重する。そして通訳の間違いによって失敗をする。 人間関係が良好ならばこの程度の失敗でお互いが不仲になることはない。笑い話だ。ただ今回のように部屋の中に強力殺虫剤を撒かれてしまうと笑っているだけでは済まないが。でも今日を乗り切ればこれも笑い話になるだろう。お父さんも早速ブログに書いているし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.03.14 00:10:06
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