[思い出（高校生時代）]の記事一覧 | お父さんから子供たちへ

ゴルゴ13とお父さん

漫画家のさいとうたかお氏が亡くなったというニュースが流れた。さいとうたかおと言えばゴルゴ13、ゴルゴ13と言えばさいとうたかおというぐらい有名な漫画家であり作品だったと思う。確か単行本の発巻数でギネス記録も持っていると思う。　お父さんが子供の頃から連載されていたので、それぐらいは行くのだろう。いまだに続いているのがすごいと思うし、これからも続くというのだからさらにすごい。いったい主人公のゴルゴ１３は今何歳という設定なのだろうか。　お父さんとゴルゴ１３との出会いは高校生の頃の部活の合宿だった。合宿で泊まったお寺に当時発売されていたゴルゴ13のコミックが全巻そろっていたのだ。合宿で疲れているにもかかわらずみんなで回し読みしながら全巻読んだ。射撃の腕前にもほれ込んだし、主人公のキャラクターも面白かった。握手をしないとか、ウソをついたら依頼主も殺すとかなかなか設定として考え付くものではない。　さらにお父さんを引き付けたのは、時事問題を扱っているので自分の知らなかった知識を仕入れることができるというものだ。お父さんは高校を卒業して大学生になるまで、本はほとんど読まなかったし、新聞も読まなかった。知識の源はテレビかマンガだった。そういう意味ではゴルゴ13はお父さんにかなり知識を与えてくれたマンガである。　生まれる前の世界情勢や、地理、歴史など様々なことをゴルゴから得た。まあマンガなので間違っている内容もあるかもしれないが、間違いなくお父さんにとって知識の供給源の一つがゴルゴ13だ。　大学生以降もゴルゴ13は連載されている雑誌を立ち読みしたり、コンビニコミックで買って読み直したりと常にゴルゴ13を読んでいる状態は続いていた。読まなくなったのはここ数年のことだ。仕事や家庭が忙しくてゴルゴ13の存在を忘れていた。　今回さいとうたかお氏が亡くなったことで、久しぶりにゴルゴ13を思い出し、また読みたくなってきている。子供たちもそろそろ内容が理解できる年だと思うのだが、一緒に読んでくれるだろうか。読んでくれるのならまた買い集めてもよいのだが、お父さん一人しか読まないのなら200冊をそろえることは無いだろう。

長女の雰囲気が変わった理由は？

長女も今春から高校2年生になった。今年に入って長かった髪を短くしたこともあるのかもしれないが、以前に比べて可愛くなったというか色気が出てきた気がする。お母さんはあまり変化を感じないと言っているが、お父さんはとても心配している。　お父さんに初めて彼女ができたのも高校2年生の時だった。それまでは彼女というか友達というか判断に迷うようなお付き合いしかなかった。息子がこの春から中学生になり、今までの「女は面倒くさい」から「俺はモテたい」に変わったことは楽しく見ているが、長女の変化は父親として「彼氏ができたのではないか」という不安を感じずにはいられない。　お父さんのころは携帯電話などなかったので、家の電話を子供が占領して長電話をすることで彼氏や彼女の存在というのはあっさりと判定できたのだが、今は難しい。若者にとってはありがたい世の中だが、親にとっては嫌な世の中になったものだと思う。　それにしても長女の変化の原因はいったい何だろうか。年頃になって朝の身づくろいに時間をかけるようになった。それの効果が出ているのかもしれない。友達同士で女の磨きあいのようなことをしているのなら良いが、彼氏の為だとやっぱり父親としては嫌なものである。　父親としてこんなことを言うのはいけないのかもしれないが、長女は客観的に見て美人の類ではないと思っている。性格も比較的内気なので、恋人ができることなどあまり意識していなかった。まあまだ確定したわけではないが。　娘が大人の階段を上ることはうれしくもあり、悲しくもある。自分の親もこんな気持ちだったのかと思うことが最近よくある。　自分が高校生の時のことを振り返るとなおさら不安になる。自分だけでなく周りの友達もこの時期にいろいろな意味で大人になっていった。だから余計に心配になるのだ。自分では何もできないしするべきでもないとわかってはいるのだが。

新入生を歓迎する高校の応援団

今週から順次子供たちの新学期がスタートしている。幸い全国で3県しか残っていないコロナ感染者ゼロの県なので、長い春休みを終えて新学期をスタートすることができている。　長女の高校では、毎年新学期は特別の「応援練習」が存在する。朝から放課後まで応援団のしごきというか脅しを含んだ応援練習がある。旧制中学からスタートした高校には少なからずある伝統だと思う。新入生はこの応援練習がある2か月弱を耐え抜くのが習わしだ。2年生以降はほとんど関係が無い。　娘の高校の応援練習がどのようなものか詳しくは知らないが、昨年娘が応援練習が憂鬱だと入学からしばらくは暗い表情をしながら登校していたので、それなりに厳しいものなのだろう。　お父さんの通っていた高校も旧制中学校からスタートした学校で、新入生は応援団の洗礼を受けた。まずは朝一から校門に応援団員が並んでいる。男子学生はこの期間（応援団に新入生と認められるまで）は制帽をかぶらなくてはならない。そして朝から「挨拶の声が小さい」とか「帽子をちゃんとかぶっていない」といか「姿勢が悪い」などといちゃもんを着けられながらの登校になる。　お父さんたちの時代は昼休みになって5分もすると、応援団員が体育館に集合するように1年生の教室に怒鳴り込んできた。お弁当を食べる時間も無く体育館に整列して応援練習が始まる。ちなみに歌詞は入学前に覚えてくるのが暗黙の了解なのだが、周りにそれを教えてくれる人がいなかった新入生は歌うことができない。　お父さんは幸いにAおじさんがすべて教えてくれていたので校歌とすべての応援歌を覚えた状態で入学式を迎えていた。なのでこの応援練習もあまり心配していなかった。確かに応援団は怖かったが。　応援練習できちんと歌えないものは、新入生の間を歩いてまわっている団員に前へ出されてしまう。そして前に出された新入生は放課後に屋上での特訓が待っている。歌えるようになるまで返してもらえないのだ。その間常に応援団員からプレッシャーを受けている。　効果とすべての応援歌の練習が終わると、応援団長から「これでお前たちもわが校の生徒として認められた」みたいな話を受けて、晴れて応援歌練習が終了する。　話を聞くと長女が1年生だった昨年の応援練習も同じようなものだったらしい。　さてこの応援練習だが、中学生から高校生になったばかりの新入生にはとてもプレッシャーが強く憂鬱なものだが、2年生以降になると恒例行事として微笑みながら見守るものとなる。何せプレッシャーをかけている応援団員は同級生もしくは1年上の先輩で、基本的に「いい人」であることがばれているからである。　必死で怖い応援団員の演技をしている彼らにできる限り協力してあげようという感じになる。　さてお父さんは高校に入学したときに、応援団による仕打ちに腹を立てて入る部活を変更した思い出がある。お父さんは、中学時代に剣道部に所属していた。小学生のころから剣道をやっていたし、中学でも県大会までは行けたので、剣道部は高校での部活動の第一候補だった。　　高校に登校した初日、お父さんは朝の挨拶をしている応援団員の一人に呼び止められた。「挨拶の声が小さい」ということだったが、呼び止めた団員はお父さんの中学の剣道部の1年先輩だった。中学時代は比較的やさしい雰囲気の先輩だったと思う。　この先輩がお父さんを自分のところに呼びつけて、再度挨拶をやらせた後に「剣道部に入れ」と言ってきた。周りに聞こえないように小声で。お父さんはこの行為に少なからずムカついた。勧誘したかったら普通の時に言えばよいのだ。応援団の威光を使って呼びつけてやられるのは納得ができなかった。　そしてこの先輩は、初めての応援練習の日（校歌を練習）にきちんと覚えて歌っていたお父さんを見つけて歩み寄ってきた。そして「声が小さい」といういちゃもんを着けられて、お父さんは前に出されてしまった。はっきり言って死ぬほど腹が立った。　放課後の屋上での練習に参加したお父さんは当然ながら一発目のテストで合格した。そして屋上から出ようとしたときまた例の先輩から声を掛けられた「1発で合格してよかったな。剣道部に入れよ。」と。この時点でお父さんの中で、「剣道部入部」は完全に消えていた。　北風と太陽のお話ではないが、こんな理不尽なことをされて入部を受け入れると思っていたのだろうか。もし今この先輩とあることがあれば笑い話になるのだろうが、若いころはこの辺の心の機微がわからないものだ。　いろんなことがあったが、高校の応援練習は今となればよい思い出だ。外部の人から「前時代的風習」などと言われてこのような風習がなくならないことを祈る。だいたい旧制中学からスタートした高校というのは地域の進学校がほとんどだ。そこの生徒が無茶ないじめのようなことを楽しんですることはほとんどない。お父さんの同級生の応援団員も普段はとてもまじめでやさしい人間ばかりだった。だからこそ楽しい思い出として残っているのだ。　長女だって今年以降はただの良い思い出になっていることだろう。