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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
ベトナムのテト(旧正月)までもうすぐだ。この時期ベトナムでは年末のあいさつやらパーティーやらで街がとても賑やかになる。お父さんの会社でも社員たちが明らかにそわそわしている。正月がやってくるのが待ちきれないと言った感じだ。
この時期は酔っ払い運転もかなり増えるので、街中を移動するときはいつもより注意が必要だ。ベトナムの飲酒運転は先進国を見習ってとても厳しい罰則になっているのだが、バイクの飲酒運転は相変わらずかなり多い。なのであちこちで事故を見かける季節でもある。 警察の取り締まりが厳しくなるのもこの時期の特徴だ。お父さんの会社は日本人も運転免許を所持してベトナムでも自動車を運転する珍しい会社なので、この時期の運転には注意をするように必ずお達しが出る。警察がいつもより多いから注意をするようにと。 最近ではだいぶまじめになったと言われるベトナムの警察だが、実際に捕まると賄賂を払って見逃してもらう制度は依然として存在している。そしてこのテト前の取り締まりはその賄賂狙いと言われているのだ。 そもそもベトナムで公務員が出世するにはコネと賄賂が必要である。自分の親が警察の署長ならばコネに問題はないが、徒手空拳の人は自らコネを作らなくてはならない。そしてコネを作るのに必要なのが贈り物というか賄賂だ。 何のメリットもなく紹介された人を出世させてくれる人などいない。お願いしますの贈り物、ありがとうございますの贈り物、これからもよろしくの贈り物とコネを維持してさらに上を目指すには財力が必要である。 日本ではお中元やお歳暮という制度があったが、これも一種の賄賂だったからこそ、「廃止」となっていったのだろう。ベトナムではいまだに贈り物はとても重要なツールとして残っている。 話を戻すと贈り物にはお金がいる。だから警察官は頑張ってお金を稼がなくてはならないが、給与を上げるには贈り物が必要で、お金を稼がなくてはならない。無限ループである。 そんなわけで、警察官は贈り物の季節になると街に出て交通違反を取り締まり、見逃す代わりに賄賂をもらってお金を稼ぐのだ。一般市民にとってはいい迷惑だ。 ただ公務員の世界はこの文化で成り立っている。出世するには現ナマを含む高価な贈り物を渡す必要がある。もらった人も自分がさらに出世するために自分を引き上げてくれる可能性のある人に贈り物をする。 外資系であるお父さんの会社では「一切禁止」となっている「従業員が上司に贈り物をする文化」が公務員の世界では「当たり前の文化」として残っている。 出世する公務員はお金とコネを持っているのが常識である。だからお父さんの会社の社員の身内に公務員がいると知らされて、「出世しているか?」とか「地位は高いのか?」と聞くと「お金がないから難しい」という答えが普通に帰ってくる。 こんな世界であるにも関わらず公務員の人気は高い。日本のように安定して生活できるからではない。うまく世渡りできれば民間企業で働くのとは比べ物にならない良い生活ができるからである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.01.27 00:10:08
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