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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
裸の王様は時代を超えて語り継がれている。それは今現在に至るまで裸の王様が存在しているからだと思う。どうしてこんなことを書いているかというと、最近「裸の王様だな」と思う機会が増えたからだ。
お父さんも50歳を間近にして、だんだんと中小の経営者と話したりする機会が増えている。70歳を超えた経営者同士が若者のふがいなさを語ることは珍しいことではないが、それに対してお父さんに同意を求めてくるのだ。意見を聞くのではなく同意を求めるのだ。お父さんは面倒くさいのでとりあえず黙って聞いているが、その会社の若手社員には同情を禁じ得ない。 年をとるまで会社を存続させることができた経営者は、強烈な成功体験を持っている。特にオーナー会社の中小企業のトップは、自分がやらなければ誰もやってくれない孤独の中で戦っていると思う。若いころはいろいろ考えて必死になっていただろうが、70歳にもなると自分が生きている間はもう大丈夫だろうという安心感が出てくる気がする。最悪会社がつぶれても死ぬまでは生活できる財産も持っている。 すでに実務は次の世代が引き継いでいることが多いが、そのやり方が自分のやってきたことや、思っていることと異なると、猛烈に不安になるようだ。だから自分の成功体験をもとに、失敗の体験もちりばめながら説教というか、批判が始まるのだ。 しかしながら、通常経営者が最も会社を成長させるのは40代後半から60歳ぐらいまでだ。その後はどんなに偉大な経営者でも時代についていけなくなるというのがお父さんの持論だ。成功体験をした時代の価値観から離れられない人がほとんどだ。その結果、世間の価値観とか時代の変化に逆行するような話をするようになる。 わかりやすい例が、仕事が間に合わない時は全員で徹夜して仕事をしたとか、給料を払わなくても休日に社員が出てきて働いたから今があるとかいう話だ。今そんなことをしたら会社がつぶれるという話をしても、だからお前たち若いものはだめなのだと聞く耳を持たない。 その他にも、とっくにその会社が取り入れている技術やシステムを知らずに、「これからの世の中は・・・。」と社員に向けて話し出す。10年も前から変わっていることを知らずに「頭の良い俺が教えてやる」といった感じで得意げに語る。 社員はただ聞いているだけで、心の中で「今頃何を言っているのだろう」と思っている。実に滑稽であり、喜劇である。 お父さんはこういう話を直接に高齢の経営者から聞くこともあれば、2代目の社長や工場長が苦笑しながら話すのを聞くこともある。そんなに珍しい話ではない。そしてワンマンな社長程、この手の状態に陥ることが多い。 お父さんが将来社長になるわけではないが、年を取ったとき自分がそうならないように注意していきたいと思う。若者に嫌われるのならともかく、憐れんだ目で見られるのはあまりにも悲しいことだと思うから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.23 00:10:07
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