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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
最近はだんだん変わってきている気がするが、ベトナム人は日本人と違って知らない人と話をすることを苦手としない人が多い。ベトナム語が分からないので、話している内容まではわからないが、雰囲気だけ見ているとものすごく盛り上がって話しているときがある。「知り合いなのか?」と聞くと「初めて会った人です」という答えが返ってくる。
このベトナム人の距離感のなさは、時にありがたく、時に迷惑なのだが、お父さんが体験した2つのエピソードを書いてみようと思う。
一つ目は、お父さんと通訳兼マネージャーのベトナム人が飛行機で出張したときの話だ。彼は飛行機に乗るのが初めてだったので、窓側の席を取ってあげようとしたのだが、あいにく窓側の席が取れずに、3列並びの通路側と真ん中の席になってしまった。 彼にどちらに座りたいか聞いたら、少しでも窓に近い方に座りたいので真ん中に座ると答えたのでその通りに座った。 窓側には若いベトナム人の女性が座っていた。こちらは2人ともおじさんである。窓側の女性とは世代が異なる。日本ならよほどのことがない限りお互いに話かけたりはしないだろう。
ところが飛行機に乗った瞬間から、彼は隣の女性と話を始めた。ここまでは予想の範囲内だったが、それでも話しかけている彼はともかく、話かけられている若い女性は迷惑しているのではないかと見ていたが、特にそんな雰囲気ではなかった。さすがベトナム人だなあと感心しながら見ていた。
飛行機が動き出し、滑走路に向かい始めると、飛行機が初めての彼はおもむろにデジカメを取り出して、窓際に手を伸ばし写真を撮り始めた。窓から外を眺めていた女性の視界を遮るように身を乗り出してカメラを窓にくっつけて撮影をしていた。さすがに女性も迷惑そうな顔を少ししていたが、やっている彼は全く気にしていなかった。
お父さんが、迷惑だからやめなさいと声をかけると、その女性とまた何か話したと思ったら、女性にカメラを渡して5分ぐらいの間、彼女に写真を撮らせていた。びっくりしたことに、女性も写真を撮ることは特に嫌ではないらしく、同僚の彼と話しながらパシャパシャと撮影していた。日本ではありえない光景である
その後も彼はちょくちょく隣の女性と話をしていたが、ベトナム人と一緒にいるとこういう光景はあまり珍しいものではない。飛行機を降りるときもお互いに普通に挨拶していた。
もう一つは、ドライバーにのせてもらってある家を訪問したときのことである。約1時間ぐらいの訪問だったのだが、用事を済ませて訪問した家を出ると、車はあるのだがドライバーがいない。ちょっと田舎の住宅だったので、どこかでタバコかトイレでもしているのかと思ったが、いつになっても戻ってこない。
仕方なく電話をしたら、向かいの(と言っても真正面でなく直線で30mぐらい離れている)家にいるということで、そこから出てきた。通訳を通して知り合いの家かと尋ねたら、全く知らない家だということだった。
待っている間、車の周りをぶらぶらしていたら声をかけられて、お茶をごちそうになっていたそうだ。驚くことにフルーツらしきものが入った袋をお土産に持たされていた。日本では考えられない事態だ。 近所の家に運転をしてきたドライバーが暇そうだと、声をかけた挙句、家に上げてお茶をごちそうした後、お土産まであげる。こんな人は日本にはいないだろうと思う。そもそも恐怖感とかないのだろうかと真剣に心配してしまうレベルだ。
ベトナム人のおおらかさというか、距離感のなさは困るときもあるのだが、なじんでくるとそれなりに良いものだと感じる。お父さんもよく話しかけられるのだが、ベトナム語ができないので、会話が成立せず、距離をつめられることはめったにない。ただごくまれに、こちらがベトナム語を話すことができないことがわかっても、ずっと話しかけてくる人がいる。お父さんも日本人なので意味は全く分からないが、笑顔で聞いてあげるしかない。
まあベトナムでの出来事なので、ベトナム人の文化に従うしかないと思って耐えている。ただベトナムの発展と共に、パーソナルスペースが広がり、ベトナム人の距離感は徐々に変化している。もう10年もすると、こんな話は全くなくなってしまうかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.05 00:10:12
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