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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
先日会社で負荷オーバーになった設計部署のヘルプを頼まれた。計算自体は問題なくできるので軽い気持ちで引き受けたのだが、そんなに簡単な仕事ではなかった。というのも設計指針の数値計算では、そもそも成り立たないものが多く出てきたのだ。
数値計算で成り立たないとは、その数値をそのまま用いると非現実的な部品が出来上がることが、素人でもわかるレベルの計算結果になるということだ。さすがにお父さんもこれはだめだと思って、こういう場合はどうするのか確認をした。
その結果、経験で数値修正を行うという回答しか得られなかった。何人かの設計者や製造の人にも確認したのだが、最後の数値調整は経験に基づく勘のようなもので決めるということだった。
その部品製造工程を経験したことがないお父さんには無理な話だった。それと同時に、中小の部品メーカーが生き残れるのは、このような勘やコツの部分で大企業のエンジニアができないことをこなしているからだと改めて思った。
大手企業の設計者は、製造部門をほとんど知らない。せいぜい見学したことがあるというレベルだ。お父さんの会社はナノレベルの精度を出さないと成り立たない製造業だ。ここで使う治工具などの図面は、見学したぐらいで理解できるレベルをはるかに超えている。職人が手作業で作り上げるわけではないが、機械の加工設定も、治工具の微調整も現場で部品を作っている人が最終的に行っている。 大学卒でも大学院卒でも、製造経験が無いと最終的な部品は作れない分野の仕事だ。お父さんの仕事の一つはこの勘やコツを数値化したり、手作業を自動化(機械化)することでもあるのだが、やはり勘とコツが必要な工程はこれが上手くいかないことが多い。
ちなみに現場の作業者は、経験は豊富にあるのだが、知識がないために苦労をしているという逆の現象もある。 やはり知識と経験の両方が無いと良いものはなかなか効率よく作ることができないということだ。今年はもう少し経験を積めるように仕事を割り振っていこうと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.07 00:10:09
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