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2023.02.14
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カテゴリ:エッセイ

 「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれたらお父さんは即答できない。強いて言えば「釣り」だろうか。後はゴルフとか昆虫採集とか食べ歩きだろうか。最近一番お金をかけているのは間違いなく「釣り」である。

 趣味いう言葉は幅が広いのでなんでもありだと思うが、これがなかなかに奥も深いものでもある。いわゆるマニアの域に入ってくると、簡単に趣味とは言えないほどはまり込んでいるモノになっていく。

 

 現在お父さんの趣味としての釣りは、道具や仕掛けを釣具屋で購入して釣り船に乗って、船頭さんが連れていくポイントで釣りをする。釣れることもあれば、釣れないこともあると言った感じだ。

 ところが奥まで入っていくと、道具や仕掛けを手作りするようにもなるだろうし、道具もハイスペックで何十万円もするようなものを使うようになる。釣り方や釣り場所、それに伴う装備も奥が深い。値段も天井知らずでかけていくことになる。

 

 お父さんも釣りを初めてからすでに100万円以上のお金をかけていると思う。もし美味しい魚を食べるのだけが目的ならば、100万円の使い道を間違っている。魚屋で高級魚を買ったとしても、100万円を使い切るのは大変だろう。その前にもったいなくて高い魚など買う気がしないのだが。

 釣りを楽しむ事(目的の魚を釣ること)が主目的なので、お金をかけることができるのだ。そして少しでも大物を、少しでも数を釣りたいと思うからこそのめり込んでいくのだ。

 

 車好きにしても、カメラ好きにしてもちょっとした変化にどんどんお金をかけて行く。車好きは、次はこういう改造をしたい、こういうパーツをつけたいと進んでいくし、カメラ好きは、次はこういうレンズでこういう写真が撮りたいとのめり込んでいく。

 基本的にここらで終わりにしようとならないのが趣味の怖いところだと思う。

 

 先日会食をした際に、食事処のマスターがずいぶんと大仰なスピーカーシステムをお店に置いてあることが話題になった。お父さんはあまり興味が無いので聞き流していたが、社長がものすごく興味を示したせいで、マスターの実演が始まってしまった。食事ももう終わりで帰ろうとしたときのことである。

 結局そこからマスターと社長がマニアックな会話を始めたため、1時間弱さらに店に長居してしまった。

 

 あとから社長に聞いたのだが、そのマスターが持っているスピーカーやアンプなどは合計で1000万円は超えているだろうとのことだった。マスターはすでに80歳手前とのことなので、昔買ったものならばもう少し安く済んでいるかもしれないが、令和の時価で計算するとそれぐらいはかかっているようだ。

 その店はマスターと奥さんの2人で回しているお店だったが、奥さんもよく許しているなと感じるほど高価なスピーカーやアンプを使っているとのことだった。

 

 お父さんはオーディオシステムにも音楽にもそれほど興味が無いので、社長とマスターが使う用語がほとんど理解できなかった。

 また音を聞くのは耳だけではないそうで、肌や骨で感じる音があるのだと言いながら2人で盛り上がっていた。お父さんもその高級アンプとスピーカーから作り出される音を聞いていたが、「いい音がするな」とは思うが、1000万かけてこの音を聞きたいかと聞かれたら、答えはNOだ。

 

 趣味の世界は本当に奥が深い。またはまればはまる程にお金がかかるものである。お父さんもお金持ちになって、趣味に入れ込める余裕があったら、もっといろいろなものに手を出していたかもしれない。

 一般の人が趣味に打ち込むには、時間とお金はどうしてもかかるものであるから、お金がない人にはできない趣味もたくさん存在している。

 

 また結婚している人は、奥さんが理解してくれないと家庭内で大問題になる可能性があるし、未婚の人は趣味にお金をかけすぎて結婚したくてもできないこともあるかもしれない。

 ほどほどで止まれないのが趣味であり、自分でこれを趣味にしようとするのではなく、気が付いたらはまっていたという趣味も多い。はまったら最後、抜け出すことは容易ではないし、誰もが死ぬまで続けたいと思っているのも趣味である。

 周囲、特に家族の理解が無いとなかなかに難しい。






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最終更新日  2023.02.14 00:10:12
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