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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
お父さんの会社では工場内で生活しているので、昼と夜は日本人専属の料理人が食事を作ってくれる。会社が進出した20年前は日本の料理よりもかなりベトナム料理に偏ったメニューだった。日本料理のレシピを教えても、作る人が日本の味を美味しいと思わないので、どうしても味や香りがベトナム料理よりになるのは避けられなかった。
メニューによって見た目は和食、味はベトナムといった不思議な料理もあった。和食の写真を見て、見た目を合わせるが味はわからないので、ベトナムの味付けにするためだ。あれから20年、ベトナム人もかなりいろいろな海外の料理を食べるようになり、日本人好みの味を作ってもらえるようになってきている。
お父さんの会社で料理を作ってくれる女性は、本当の和食をしらない。おそらく和食のレストランに行ったこともないと思う。最近ではベトナム語で書かれた和食のレシピがネット上にあるらしく、教えていない和食が出てくるのだが、和食自体を体験していないために、逆に和食ルールに縛られていないという面白さがある。
餃子を和食とするのは正しいのかわからないが、最初は餃子の皮を日本人が買ってきて、ベトナムの上げ春巻きの具を入れるように指導して、疑似餃子を作ってもらった。その後、餃子の皮を使って中身を変えていろいろな餃子を作ってくれる。 ひき肉とハクサイなどで作った普通の餃子が出てくることが少なくなったのが残念だが。
そんな中、彼女たちが作る料理で面白いというか、そういえばと気づかされたのが「かき揚げ」だ。天ぷらがたまに料理に出るのだが、かき揚げは別の料理としての概念らしく、天ぷらの中にかき揚げが入っていることは無い。出るときはかき揚げ単体で出てくる。 なぜてんぷらとして認識していないかと言えば、お父さんの推測ではあるが、料理法がkとなるからだ。 てんぷらは、日本と同じで衣をつけてたっぷりの油で揚げるのだが、かき揚げは、油に浸して揚げると焼くの中間で調理している。そのため天ぷらの一種なのに、このかき揚げは両面が平らで少し焦げ目がついている。
最初の頃は天つゆで食べていたのだが、ある時どう見ても「お好み焼き」にしか見えないかき揚げが出てきた。とりあえずソースとマヨネーズで食べてみたのだが、そのままお好み焼きだった。 考えてみれば、お好み焼きも水でといた小麦粉で具を包んでいる料理だ。中の具が若干異なるのと、調理法が違うだけで、どちらも似たような材料を使っている。
最近はかき揚げをお好み焼きとして食べるのがお父さんのブームになっている。天ぷらで言う衣が多すぎて、天つゆで食べるのはいまいちなのだが、割り切ってお好み焼きとして食べると美味しいのだ。 ベトナムで彼女たちが怪しげなかき揚げを作ってくれなかったら、お父さんはかき揚げとお好み焼きの共通点に一生気が付かなかっただろう。
もう何十年も前に、アメリカでカリフォルニアロールが出てきたときに、魔改造された和食だと思っていたが、おかげで今では日本の寿司(巻物)はかなりバラエティ豊かになっている。高級なすし屋ではメニューに無いだろうが、回転ずしでは当たり前にいろいろな巻物が存在する。 これは固定概念のない外国人だからこそできたのだと思う。それが日本に逆輸入されてさらに食のバラエティを豊かにしているのだ。
日本食が世界に広まり、それが日本に逆輸入される。保守的な人は嫌がるかもしれないが、お父さんはこれも時代変化による良い影響だと思っている。これからもベトナムの食事にいろいろ気づかされることを期待している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.27 00:10:12
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