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カテゴリ:エッセイ
7月末に重要なお客様が日本から来ることになっている。お父さんの会社がお世話になっているので、きちんともてなさなくてはならない。その際に関係者を数人連れてくるので、ベトナムの情報を教えてくださいと言われている。そのため現在会社の情報も含めて、「ベトナムで工場を運営すること」について、人口などの地理的データや、経営や運営の話などをまとめている。
これまでも何度かこういう資料は作っているし、お父さんの会社もベトナムに進出する前は、いろいろな国へ行って、JETOROなどの機関を通じてその国に進出している日系企業の話をたくさん聞いた。
ただ自分たちが説明する側になってわかったことがある。それは、本当に苦労しているその国の真実(主観的なものが主)については、資料などに載せないし、口で説明することもあまりない。食事の席などで、ダイレクトな質問を受ければこっそり話をする程度だ。
そういう訳で、一度訪問して話を聞いたくらいでは、相手は本当の情報は教えてくれないとお父さんは思っている。特に発展途上国と言われている国ではこの可能性が顕著であると思う。 理由はいくつかある。最も大きな理由が、その国の悪いところをダイレクトに伝えて、相手が他の場所で「悪い印象の情報」をお父さんの会社から聞いたと言われると困るからだ。特に行政関係の人に伝わると、問題になってしまう。運が悪ければ行政からいじめのようなことを受ける可能性がある。だから致命的なデメリットなどは、まず来客に話すことは無い。
もう一つの理由が、本当の苦労話をしても日本だけで仕事をしている人には理解ができないことを知っているためだ。海外というのは日本の常識からしたら、信じられないようなことが当たり前に発生するものである。しかしながら、そういう話をしても日本しか知らない人は理解ができない。大げさに言っているとか、ウソを言っていると思われるのが、わかっているので、あまり真実を話すことは無い。
さらに言うと、あまりひどい話をすると、この会社は大丈夫だろうか、この日本人は信用できるだろうかと、会社や個人の信用問題になってくるからだ。例えば「ベトナム人の社員が出荷の検査を省いて納品してしまい、その製品から不良が見つかること」があったとしよう。お客さんがお父さんの会社製品を購入している会社の人だった場合、そんな情けない話はできない。会社の信用にかかわるのだから致し方ない。 結局あまり当り障りのない情報を出して終わりにしてしまうことが大半である。
ベトナムの真実を知りたかったら、日本人駐在者がよく行く居酒屋などで、酒に酔った人が勢いで口を滑らせているような話を聞く方が良いだろうと思う。都合よく出くわせるかどうかはわからないが、公式訪問で聞ける話は上っ面の話だけである。
なので海外を訪問するときはなるべく相手と会食をするようにして、本当の情報が少しでももらえるように努力している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.22 00:10:12
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