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2024.01.27
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カテゴリ:エッセイ

 先日お父さんの会社が契約している会計事務所から電話があった。至急相談したい内容があるので、面会したいということだったが、電話では要件を言うことができないと言う。何か準備する資料とかないのか確認したが、とにかく1度来てくださいとしか言われなかった。お父さんの経験上、こういう時はろくな話ではない。なので最短で行ける日程を決めて会計事務所に顔を出した。

 

 結果として、手続きをお願いしていた書類を滞留させて期限を過ぎてしまったという内容で、会計事務所のミスであった。ただ、それほど重要な要件ではなかったので、来年再度手続きをすることで話は済んだのだが、先方の態度がいつもと異なるのでとても違和感を覚えた。

 

 普段お父さんが会計事務所に行くと、担当者が出てきて必要事項を打合せするのだが、その最中に大先生と呼ばれる創業者が顔を出すことが多い。その時の態度がとても不遜というか大物ぶっているのがいつもの様子であった。

 ところが今回は全く顔を出さずに、替わりに今まで一度も出てきたことがない、後継者の息子が現れた。事務所に入ったときに、大先生の姿は奥に見えたのでいなかったわけでは無い。どうして息子が出てくるのか不思議に思っていた

 

 とりあえず要件は済んだので、謝罪も受けて帰ろうとしたとき、奥から大先生が出てきて簡単に謝罪をしてきた。実に決まりが悪いといった態度だった。普段通りに現れて、普通に謝罪をしてくれれば、大した内容ではなかったので問題ないと思うのだが、お父さんは帰り際の態度というか表情を見て、「謝罪するのがプライドに障るのだな」と感じてしまった。

 

 お父さんの父親もそれなりに社会的地位を築いた人なのだが、自分のミスなどがあった時に素直に謝罪することができない人だ。年をとってからどんどんその傾向が強くなっていると感じる。自分を押さえつける人がいなくなってしまうと、人に気を使うことがなくなるようで、謝罪よりも言い訳が出ることが多い。もしくは、屁理屈で自分ではなく相手が悪いという話にまでしてしまうことがある。

 結果として自分の印象を悪くしているのだが、本人はうまく乗り越えたという顔をしている。この認識の差は、その後の自分の人生に結構大きなマイナスとして作用するとお父さんは思っている。

 

 実際に、人格者と言われていた人が、歳をとるにつれて評価を下げていく例はそれなりに見てきている。若い頃に評価が高いだけに、周囲が非常に残念がって話をするので、簡単に話が広がっていく。

 結果としてその人に対する認識が変化し、対応も変わってくる。もちろん良くない方にだ。日本人は「君子危うきに近寄らず」なので、接触を極力少なくされてしまうことが多い。ネット用語でいうカットアウト(CO)とかフェードアウト(FO)というやつである。

 

 お父さんも大先生や父親ほどではないが、会社内での地位はそれなりに持っているので、老いるにつれておかしくならないように気をつけなくてはならないと思うのだが、無駄なプライドというのは、本人が認識していないところで出てきてしまうこともあると思う。

 気をつけようとは思うが、同じことをしてしまう恐怖は完全にはぬぐえない。






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最終更新日  2024.01.27 00:10:10
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