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お父さんから子供たちへ

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2024.06.24
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カテゴリ:エッセイ

 努力というのは人間の美徳の一つである。努力を続けて何かを成し遂げる人は結果を得るだけでなく、周囲からも称賛されるのが普通である。

 日本には、おそらくは世界にも、「努力を続ければ何事も成し遂げることができる」というような言葉が存在すると思われる。

 

 お父さんも子供の頃から「努力しなさい」「努力しないとまともな人間になれない」「努力はいつか必ず報われる」というような言葉をずっと言われてきたし、自分の子供達にも同じような言葉を投げかけている。

 これはお父さん自身も「努力は重要」と考えているからである。お父さんも仕事や家庭で様々な努力はしているが、一心不乱に努力しているかというとそんなことはない。さぼっている時も多々ある。

 

 そもそもこれだけ世の中に「努力せよ」という言葉があふれていると言うことは、努力をすると言うことが簡単ではないことを物語っていると思う。

 世の中にある言葉で、こうしなさいとかこうしないとだめですという類の言葉は、それが簡単に継続できないことを意味していると言っても過言ではないだろう。

 夜更かしをするな、お酒はほどほどに、人には親切に、ウソはいけないなどどれも大事なことであり、道徳上も倫理上も健康上もその人の人生に有用なことである。そしてどれも簡単にできないからこそ、世代を超えて言われ続けているのだとお父さんは思っている。

 

 逆に、言われなくても通常当たり前にできることは、あまり一般の人が言われることはない。毎日ご飯を食べなさいと怒られる人は少ないだろうし、きちんと呼吸をしないさいと言われたことのある人はほとんどいないだろう。

 言われなくても誰もが通常実施する行為を尊いと説いたり、格言的な言葉ができると言うことはないのだ。

 

 さて前置きがちょっと長くなりすぎてしまった。努力をするということは簡単なことではない。しかしながら、世の中には努力によって成果を出し、それが成功体験となってさらに努力をして成功を積み重ねる人というのが一定数いる。 常に努力し続けない人でも、ここぞという時はきちんと努力して成果を出す人もいる。

 このようにきちんと努力をすることができる人、かつそれによって成果を出すという経験をしている人が、陥りやすい思考がある。それが、「努力しない人はダメな人」とか「努力しても成果が出ないのは努力が足りないから」という思考だ。

 

 お父さんも若い頃はこれに近い思想を持っていた。なぜなら若い頃は努力すれば一定の成果を上げることができたからだ。実に幸せな人間だったと今では思うようになった。

 今は、努力は尊いし、努力は大事だと思ってはいるが、それを周囲の人にまで押し付けようとは思わない。

 それはこれまでの人生で、お父さんがしたことがないレベルで必死で努力をしている人を何人も見ている中で、全員が結果を出せるわけでは無いという現実を見てきたからだ。やり方が間違っているという理由もあるかもしれないが、明らかに必死で努力している人が、たいして努力をしているように見えない人に負けてしまうというのは、現実ではよくある光景なのである。

 

 さらに言うと、努力というか一つの事を集中して継続するというのも人間の能力の一つで、努力ができないという人も存在するということをこれまで見てきた。努力ができないといは、努力しないとかさぼるとは根本的に違う。

 何か課題があった時に、解決しなければならないのはわかるのだが、何をすればいいのか理解できない、もしくは思いつかないので立ち止まっているだけという人は一定数いる。こういう人に努力しなさいと言っても、何をすればよいのかわからないので不可能なのだ。人を卑下しているように聞こえるかもしれないが、気の毒なほどに自分で思考できない人というのがいるのは事実である。

 またその人なりに一生懸命努力しているつもりでも、周りから見たら努力しているように見えないことも多々ある。

 

 努力して成功してきた人達の中には、こういう人がいることが理解できないことが多い。なので、成果を出せない人を努力不足と断定してしまう。言い方はきついが、どんな人でも努力すれば成し遂げられるというのは、現実では起こりえない。これはお父さんの持論であるが、実際にそういう人を多く見てきた実感でもある。

 

 会社にも努力至上主義の上司が何人かいるが、努力できない人にとってはパワハラとさして変わらないレベルの嫌な上司になるのかもしれない。






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最終更新日  2024.06.24 00:10:13
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